北陸新幹線考
2017.03.08
かつて整備新幹線は、昭和の三大バカ査定の一つなどと揶揄されたことがありました。
新幹線は、きちんと整備されれば、地域振興などに大きな力を発揮します。
しかし、いい加減に計画を作れば費用が便益を上回り、納税者から強い非難を浴びることになります。
そのためにも計画は慎重に作らなければなりません。
現在、敦賀まで整備計画が決まっている北陸新幹線について、これを京都、新大阪まで延伸しようという計画があります。
北陸を近畿とつなぐこの計画は、効果も大きい反面、いい加減なルートを選択すれば費用があっという間にうなぎ登りになりかねないリスクをはらんでいます。
現在有力視されている敦賀から京都のルートは俗に小浜ルートと呼ばれるもので、敦賀から京都をほとんどトンネルで結びます。
この整備費用が上振れをしないように、慎重な見積もり、並びに効果の評価が必要になります。
その先、京都から新大阪までは現在、東海道新幹線が走っています。
これと並行して新たな新幹線を建設する必要はないと言ってもよいと思います。
東京と大阪は、いずれリニア新幹線で結ばれることになります。
東海道新幹線の東京・新大阪間のニーズは、リニアが代替するでしょう。
そうなれば、北陸新幹線の京都・新大阪間は現在の東海道新幹線の容量で十分カバーできます。
もし、京都・新大阪間に並行新幹線を引こうとすれば、大深度にならざるを得ませんし、土地柄、大規模な文化財などの発掘調査も必要になるでしょう。
小浜ルートのB/Cは、JRへの線路の貸付料を50年で計算しています。
しかし、現在、貸付契約は30年、その後は未定です。貸付料を継続するのか、JRに売却をするのか、そこも明確化していく必要があります。
国民に期待され、祝福される整備新幹線を作るべく、しっかりとした調査と議論が必要です。
ちなみに新青森・新函館北斗間は事業費の見積もりが4700億円でスタートし、結果として5783億円に上振れすると想定されています。23%の増加です。
長野・金沢間は、事業費の見積もりが15,660億円に対して、実際の事業費は17,801億円、14%増になると推定されています。
財政が厳しい中で、本当に役に立つのか、便益が費用を上回るのか、全国民的な視点から、議論が必要です。