ほら研究者の皆様へ
2016.12.20
他の大学図書館に海外の文献の複写を依頼する場合ですが、電子ジャーナルの購読料を可能な限り下げるために、現在、日本の国公私立図書館でコンソーシアムを組んで、海外の大手出版社と団体交渉をしています。
図書館同士の文献の複写送付に関して、郵送とFAXのみ認めている出版社と郵送、FAXに加えセキュリティの保たれる電子的な転送も認める出版社と両方ありますが、これは図書館同士の話で、利用者に電子ファイルでの提供は認められていません。
少なくとも、エルゼビア、ワイリー、スプリンガーネイチャーの最大手3社は、利用者への電子ファイルでの提供を認めていません。
これを認めるような契約に変更すると、購読料が高くなることが大いに想定されますのでも、その予定は当面ありません。
ご了解ください。
「科研費」で購入した図書や備品を、研究者が異動するときに持っていけないケースがあるという話をいただいていますが、文科省からはそれは絶対におかしいと回答をもらっています。
ローカルルールであろうとなかろうと、「科研費」で購入した図書、備品を異動する研究者が持っていけないような事態が発生した場合は、文科省研究振興局競争的資金調整室までご連絡ください。
文科省が責任をもって対応します。
ただし、合算で購入した備品の移動に関しては、関係者全員の合意が必要となります。
高専で研究している研究者が異動する場合の備品などの取り扱いについては、2017年1月に行われる高専の学校長会議で、文科省から、研究者が研究費で購入した備品の移動に関する趣旨の説明をきちんとする予定です。
日本学術振興会の特別研究員の身分については「無職」ではなく「特別研究員」という身分になります。
ただし、受け入れ機関との間での雇用関係はないので、個人で災害保険に入る、国保や国民年金に入る必要があります。
職務専念義務に関しては、出産や育児での中断は認められており、また病気の場合も原則中断は認められています。
また、非常勤講師やTAとして、週5時間までの教員に関する業務を行って、対価をもらうことは可能です。
このままの状況でよいのかどうか、文科省で検討中です。
海外から招聘する研究者への課税に関しては、日本で源泉徴収された分は、本国で外国税額控除していただくことになります。
あるいは航空券代と謝金の差額を本国で所得税申告する際に、経費にすることになります。
国税庁が遅くとも今年度末までに、きちんとした説明のページを英語でウェブサイトにアップすることになりました。
なお、文科省の調査によれば、研究者のサインが必要な領収書について、研究法人はほとんど英語化されていますが、大学は調査した58大学中日本語の書類に署名させているものが15大学もありました。
ここについては英語化するように申し入れます。
また、外国の研究者に源泉徴収票を送ったことがある20の大学のうち、一つの外語大を含む12の大学は、英語の説明を付けずに送っていました。
国税庁のホームページなどが整備された時点で、こうした大学に、英語の説明を付けるように申し入れます。
86の大学中、企業と大学の共同研究の場合に、不実施補償を求めている大学は56大学、求めていない大学が27大学、その他3大学。
この問題でよくトラブルになる大学が1、半分ぐらいトラブルところが4、若干トラブルところが35、トラブルにならないところが16という回答でした。
平成27年度に大学が不実施補償をもらったのは98件でしたが、総額で2200万円、1件当たり約20万円です。
共同研究は2万件、467億円でした。
ということで、2017年1月、2月に文科省と経産省でブロックごとに大学、企業を対象とする共同研究のガイドラインの説明会を開催して回ります。
文科省はクラウドサービスの利用を国内法が適用されるサービスに限っているのかというご質問がありました。SurveyMonkeyやDropboxなどのサービスは使えないことになります。
結論から言えば、国内法が適用されないサービスの使用を制限しているということはありません。
ただし、国内法でない法令の適用を受けるリスクは十分承知して使ってください。