原子力は準国産か
2016.06.26
経産省の春のレビュー二日目。
海外ウラン探鉱支援事業補助金が対象となりました。
その説明の中で、経産省から、「中長期的にウラン需給逼迫の可能性」があり、「ウランの全量を輸入している我が国にとって、中長期的な観点も踏まえ、ウランを安定的に調達することは重要な課題」という主張がなされました。
さらに「官民一体となってウラン供給源の多角化を図り、安定供給の確保を図るものであり、政策目的の達成手段として必要かつ適切であり、優先度の高い事業である」という説明もありました。
この補助金の説明としては適切かもしれませんが、この説明は、これまで経産省が繰り返し述べてきた「原子力は準国産エネルギーである」という主張とは全く相容れません。
全量を輸入に頼っている燃料の需給が逼迫する可能性があり、その安定的な調達は重要な課題であり、官民一体となって供給源の多角化を図ることが優先度が高いようなエネルギーを準国産とは到底言えません。
経産省はIEAが原子力は準国産のエネルギーだと定義しているから準国産エネルギーだなどと主張しました。
政府の行革事務局としては、IEAの中で議論するときに原子力をどう定義するかはIEAが決めればよいことですが、我が国の予算や政策を議論するときに、一方でこう言っておきながら、他方で原子力は準国産などと主張することは相矛盾しており、認められないということをはっきりと指摘しました。
レビューを行った有識者からも原油の備蓄は半年程度で良しとされているのに、ウラン燃料は原子力発電所二年分を保管することとされている。そのウラン燃料を使う原子力発電が準国産というのはおかしいとの指摘がありました。
これまで原子力発電に関する予算については精査されたことがほとんどなく、昨年の秋のレビューで様々な原発関連予算に初めてメスが入りました。
この分野は、まだまだしっかり見ていかなければなりません。