第百九十回国会 衆議院消費者問題に関する特別委員会 河野太郎内閣府特命担当大臣(消費者担当)所信
2016.03.26
第百九十回国会 衆議院消費者問題に関する特別委員会
河野内閣府特命担当大臣(消費者担当)所信表明
消費者担当大臣として所信の一端を申し述べます。
我が国の経済の中で、個人消費が占める割合は約六割にものぼります。
消費者の安全が確保され、安心して消費ができるよう取り組むことは、消費者行政の大目的であることはもとより、我が国の経済、ひいては我が国の未来を左右し得る重要課題であると考えております。
消費者の安全で安心な暮らしを守るため、消費者庁は常に牙をむき、必要な時はそれを積極的に使わねばなりません。
強い消費者庁を実現し、「消費者庁ここにあり」を世に示していくため、私自身が先頭に立って取り組んでいく所存です。
まず、今通常国会には、高齢化の進展を始めとした社会経済情勢の変化に対応するため、次の二法案を提出いたしました。
「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案」には、悪質事業者への対応として、業務停止を命ぜられた法人の役員等に対して、停止の範囲内の業務を新たに開始することを禁止する等の措置を盛り込んでおります。
「消費者契約法の一部を改正する法律案」には、過量な内容の消費者契約について消費者に取消権を認めること等の措置を盛り込んでおります。
高齢者を狙った悪質商法への対応は喫緊の課題であり、これら二法案については、是非とも今通常国会にて成立いただきたく、委員各位の御理解・御協力をお願い申し上げます。
新たな法案だけでなく、これから施行を迎える法律等の円滑な運用や制度の定着にも万全を期します。
本年四月には、景品表示法に課徴金制度を導入するための改正法が施行されます。
不当表示への抑止力が高まるとともに、不当表示を行った事業者が自主的な返金を行うことで被害回復が促進されることが期待されます。制度の周知に努め、適正に執行してまいります。
同じく四月には、消費者安全法の改正法が施行されます。
高齢者等の被害防止のための「地域の見守りネットワーク」を全国に整備していくとともに、新たに導入される消費生活相談員資格制度の円滑な実施に取り組んでまいります。
続いて本年十月には、消費者裁判手続特例法が施行されます。本法律に基づく被害回復制度の円滑な導入に向け、制度の周知を進めます。
また、昨年四月に施行された食品表示法に基づく新たな食品表示制度については、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択に資するよう、普及啓発や適正な執行に努めます。
さらに、加工食品の原料原産地表示や遺伝子組換え表示の在り方、機能性表示食品制度の積み残し課題などの検討も併せて進めてまいります。
昨年三月に閣議決定された第三期の「消費者基本計画」については、施策の進捗や社会状況の変化などを踏まえ、工程表の改定を積極的に進めてまいります。
消費者の生命、身体、財産の安全の確保に全力を挙げるのは言うまでもありません。
廃棄食品の不正流通事案や軽井沢におけるスキーバス事故は、あってはならない事案です。消費者事故等への対応においては、消費者庁はその司令塔機能を十分に発揮しなくてはなりません。
消費者事故やリコールに関する情報を効果的に収集・発信するとともに、緊急事態の発生に際しては関係府省庁や関係機関との連携を図り、迅速な対応を行ってまいります。
また、原因究明に当たっては、消費者安全調査委員会を十分に活用し、「事故から教訓を得て、繰り返さない」よう取組を進めます。
全国各地における消費者取引の適正化のため、消費者安全法、景品表示法、特定商取引法等の所管法令を厳正に執行し、悪質商法や不当表示を徹底的に排除していきます。
消費者被害を防止し、被害から救済されるための取組を進めます。
「どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる」よう、地域における消費者行政の体制の全国的な整備を進めてまいります。
「地方消費者行政推進交付金」を活用し、消費生活センターの整備、消費生活相談員の養成等の取組支援を進めるほか、消費生活相談員が、その能力を十分に発揮できるよう、いわゆる「雇止め」の見直しを含めた処遇改善に取り組みます。
また、消費者が相談を行う入口となる消費者ホットライン「一八八」の認知率が依然低いことから、私自身が先頭に立って周知・広報に努めてまいります。
事業者に対し差止請求を行う適格消費者団体の活動も支援します。
消費者自身による知識や実践的能力の習得も重要であり、誰もが、生涯を通じて、様々な場で、消費者教育を受ける機会を提供できるよう取り組みます。
電気料金など、生活に密着した物価の動向は消費生活に大きな影響を与えます。
生活関連物資の物価動向を調査・監視するとともに、公共料金の決定・変更の際には、消費者に与える影響が十分考慮されるよう取り組みます。
また、四月から電力小売が全面自由化されますが、消費者トラブルを防止し、消費者のニーズにあった電気事業者や料金メニューを選んでいただくために必要な情報が提供されるよう、取り組んでまいります。
消費者庁、消費者委員会及び独立行政法人国民生活センターが、徳島県から誘致の提案を受けています。
四国・関西を始め全国各地の消費者、消費者行政の関係者の声も踏まえつつ、様々な試行も通じて、徳島県への移転により消費者庁等の機能の維持・向上が図れるかといった観点から、どのような課題があるか、また、どのようにしたら課題をクリアできるかについて検証してまいります。
これらの検討に当たっては、消費者庁を創設した際の理念をいささかも損なうことのないよう進めてまいります。
消費者担当大臣である私のリーダーシップの下、消費者庁、消費者委員会及び国民生活センターの緊密な連携を図り、それぞれの役割を最大限発揮させながら消費者行政を推進し、かつ進化させてまいります。
江﨑委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。