スーパーチューズデー

2016.02.29

アメリカの大統領選挙は前半戦の山場であるスーパーチューズデーを迎えます。

トランプ候補が予想外の独走を続ける共和党ですが、ルール的な観点からこのスーパーチューズデーの見どころが三つあります。

50%の壁、20%(または15%)の壁、そして2位、3位の壁です。

共和党は、サウスカロライナ州を除いて、3月15日より前に行われる予備選挙と党員集会は比例配分にしなければならないと定めています。

しかし、スーパーチューズデーに予備選挙が行われる南部の州の多くは、この比例配分に例外を設けています。

多くの州は、州に割り当てられた代議員の数を、州全体の得票に応じて配分する分と連邦下院議員選挙区ごとに3人ずつ割り当てる分に分けています。

例えば代議員数50人のアラバマ州の場合、代議員の配分は、州に7つある連邦下院議員選挙区ごとに3人ずつの代議員、合計して21人と州全体の得票に応じて配分される代議員29人に分かれています。

このうちの州全体の得票で配分される分については、アラバマ州やジョージア州、アーカンソー州、オクラホマ州などでは、州全体で50%以上の得票をする候補者がいれば、その候補者が総取りできるというルールになっています。

つまり、トランプ候補が50%以上の得票をすれば、州全体分の代議員を総取りできるのです。

そうなれば、共和党ルール40(b)*に定める「少なくとも8州で代議員の過半数を獲得する」という基準に一歩近づくことになります。

さらに南部各州は、代議員を獲得するために得票率の足切ラインを設けています。

アラバマ州、ジョージア州、ルイジアナ州、テキサス州、テネシー州では20%、アーカンソー州やオクラホマ州では15%を得票率で下回った候補者は、代議員を獲得できません。

例えばアラバマ州で、仮にトランプ候補が49%にとどまっても、ルビオ、クルーズ両候補が19%ずつ、他の二人が7%と6%ならば、トランプ候補がやはり総取りです。

トランプ候補が50%を超えるか、ルビオ、クルーズ両候補がそれぞれ20%(州によっては15%)を超えられるかどうかが、一つの焦点です。

さらに連邦下院議員選挙区ごとに3人ずつ割り当てられた代議員に関しても、多くの州はその選挙区での得票率が50%を超えた候補者が総取りできるというルールにしています。

そして多くの州では、もし50%を超える候補者がいなければ、1位の候補者が2人、2位の候補者が1人の代議員を獲得するというルールにしています。

つまり連邦下院議員選挙区ごとの得票数で2位になれれば代議員を1人獲得できますが、3位に終われば代議員はゼロです。

ルビオ候補とクルーズ候補にとって、2位になるか3位になるかは大違いです。

トランプ候補にとって、50%を超えれば総取りできますし、50%には及ばなくとも州全体でそれなりの得票率を取り、すべての連邦下院議員選挙区でトップをとれば、州の代議員の過半数を獲得することも可能です。

もしトランプ候補がルール40(b)の定める8州で過半数の代議員を獲得し、他の候補者がそれを達成できないことになれば、本当に共和党は党大会前にルール変更をするでしょうか。

そしてそんな土壇場でのルール変更をトランプ陣営、トランプ支持者が受け入れるのでしょうか。

*共和党のルール40(b)については私のブログの「サウスカロライナとルール40(b)をご覧ください。
http://www.taro.org/category/blog



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