サイバー犯罪と戦う
2015.12.06
11月に入って、2件のサイバー犯罪に関する検挙が行われました。
この2件は京都府警察と茨城県警察を中心としたサイバー捜査の成果です。
まず、今年1月1日に施行された改正著作権法により新設された電子出版権侵害の初検挙事例です。
今年1月、京都府警察がサイバーパトロール中に、発売前の漫画雑誌が海外サイトで無料公開されているのを発見しました。
京都府警察が、一般社団法人コンピュータソフトウエア著作権協会及び大手出版社2社の協力を得て捜査したところ、配送業者から販売前の雑誌が流出し、漫画「ONE PIECE」や「七つの大罪」の紙面をデジタル化してインターネット上に公開されていたことがわかりました。
中国人5名、日本人1名を逮捕するとともに、現在、押収した証拠品の精査や被疑者に対する取調べを行っています。
漫画をデジタル化した画像データは、国内で雑誌が販売される前に英語に翻訳され、トルコ及びカナダに開設されたウェブサイトに公開されていました。
両ウェブサイトには、それぞれ約4000と約200の漫画の画像データが掲載されていました。
カナダのサイトは被疑者の逮捕後に閉鎖されていることが確認されています。
もう1件は、茨城県警察が活躍した海外サーバを利用した違法アダルトアフィリエイトサイトの一斉集中取締りによる被疑者13名をわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪で逮捕したケースです。
インターネットバンキングの不正送金事犯の被害原因の多くがウイルス感染によるもので、アダルトサイトが感染経路の一つになっていると指摘されています。
また、インターネット・ホットラインセンターが受理した違法情報のうち、海外案件に関するものの割合が昨年初めて50パーセントを超え、海外サーバを利用した違法行為に歯止めを掛ける必要があると判断されました。
さらに昨年11月13日に立ち上がった一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)でもインターネットバンキングに係る不正送金事犯への対策が検討されており、海外サーバを利用した違法アダルトアフィリエイトサイトを摘発することがウイルス感染源の根絶につながるということで意見が一致しました。
そこで茨城県警察がJC3の協力を得て情報収集を始め、関係都道府県警察が連携して捜査を行った結果、茨城県警察を含む18の都道府県警察が11月25日に、被疑者の居宅など66か所に対する捜索差押えを一斉に行いました。
そして10都道府県警察で、13名の被疑者をわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪で逮捕しました。
この一斉集中取締りには、海外サーバを利用していても検挙されるということを周知する狙いもありました。
警察庁や警視庁だけでなく京都府警察や茨城県警察をはじめ全ての都道府県警察でサイバー犯罪に対する戦いが始まっています。
警察では、サイバーテロを含むサイバー犯罪対策を強化しています。
例えば、「イスラム国」は広報やリクルートにおいてインターネットを効果的に利用する能力を有していますが、遠くない将来、重要インフラに対するサイバー攻撃を始める可能性は否定できません。
そうなれば物理的な距離などに関わらず、最もセキュリティが脆弱なところが狙われます。
警察庁及びすべての都道府県警察で、サイバーの技術を持った人材を募集し、また、養成しています。
来たれ、国民を守れる人材よ!
警察庁の採用のホームページのアドレスです。
https://www.npa.go.jp/saiyou/index.htm