配慮は要らない
2015.11.18
国家公務員制度担当大臣として、霞が関で働く女性職員有志の皆さんとお昼を食べながら意見交換しました。
彼女たちのメッセージはシンプルかつ強烈でした。
女性職員への配慮は要らない、霞が関の働き方を変えてほしい。
霞が関で働く女性は増え続けています。
そして彼女たちはどんどんと重要なポジションについて仕事をするようになっています。
今や、霞が関の新卒採用の三割は女性です。
霞が関における女性人口が一割程度のうちは、家庭と仕事を両立させようと頑張る女性に、ポストをはじめ、さまざまな配慮をすることができました。
しかし、女性人口が三割になると、子育てをする女性をなるべく定時で帰れるポストにつけようとしても、それだけの数のポストがありません。
霞が関で子育てとキャリアを両立させようとしている女性を助けるために周りの男性が余計に頑張ると、民間でフルタイムで働いている彼らの奥さんたちにシワ寄せが来ることになります。
霞が関で働く女性をなるべく早く帰宅させるために、男性職員が遅くまで残業して頑張ると、民間で働く彼らの奥さんが子育てのために毎日早く家に帰らなければならなくなり、フルタイムでの仕事を続けることが難しくなって仕事を辞めたという話を聞くことが多くなると、霞が関で働いている女性は、それは申し訳ないという気持ちになります。
女性に配慮すれば何とかなるという時代は霞が関でも終わりつつあるのです。
霞が関における働き方を、価値観とともに根本から変えなければ問題は解決しない時代になっているのです。
そのためには霞が関の価値観を変えるとともに、霞が関が接している周りの世の中も変わらなければなりません。
霞が関だけでは変わることができないのです。
とりあえず、彼女たちが何とか仕事を持ち帰ってテレワークで、と思っても、各省ごとにテレワークのルールが違うのが霞が関の現状です。
それだけではありません。
有志の女性の過半数は旧姓使用でした。霞が関でも旧姓使用する女性が増えているようですが、公務員が仕事で外国に行くための公用旅券は旧姓では取得することができません。
当然に旧姓では飛行機にも乗れません。
旧姓で仕事をしている民間の女性から伺った話ですが、旧姓では銀行口座も開けないので、振り込みをしてもらう時にとても困ります。
来年の四月から霞が関でもフレックスタイムができるようにしたいと思っています。
私はジョージタウン大学を卒業して、富士ゼロックスに入社しました。
その時に、埼玉県志木市で行われた日本で初めてのサテライトオフィスの実験の現場責任者でした。
また、ワークステーションで自宅と会社を繋いでテレワークをやったり、仲間と一緒に当時の小林陽太郎社長にフレックスタイムの導入を直訴したりしました。
9600bpsのモデムが100万円を切った頃の話です。
今やフレックスタイムもテレワークも珍しくなくなりました。
世の中も大きく変わりました。霞が関も変わり頃です。