原子力防災by河野太郎
2015.10.21
内閣府特命担当大臣として防災も担当することになりました。
ここでいう防災とは自然災害です。
例えば原子力防災は、丸川環境大臣(宮中ふうに言えば大塚国務大臣)の担当です。
しかし、彼女が担当するのは「事業用」の原子炉で、米軍の原子力艦による原子力災害は、私の担当です。
もし米軍の原子力艦に異常が発生した場合、次の3つのルートで連絡が入ります。
1.大使館から外務省経由官邸及び防災担当大臣
2.米軍から地方防衛局経由防衛省から官邸及び防災担当大臣
3.米軍から関係地方自治体経由防災担当大臣
さらにわが国独自の環境放射線モニタリングに1地点で10分以上5マイクロシーベルト/時以上の異常値が検知されたときなどに原子力規制庁は官邸と防災担当大臣、外務省に連絡します。
昭和55年6月に制定された「原子力施設等の防災対策について(旧指針)」によれば、敷地境界付近における放射線量率が500マイクロシーベルト/時を超えた場合に避難することになっていました。
これを引用して、平成16年8月に「原子力艦の原子力災害対策マニュアル」が整備され、原子力艦係留地の敷地境界付近における放射線量率が100マイクロシーベルト/時を超えた場合、原子力空母ならば1km以内は避難またはコンクリート屋内退避、3km以内は屋内避難ということになりました。
ところが、福島の原発事故を受けて、旧指針は「原子力災害対策指針(新指針)」に改められ、5マイクロシーベルト/時を超えた場合は5km以内は避難、30kmは屋内退避とされました。
しかし、「原子力艦の原子力災害対策マニュアル」のほうはいまだ改められていません。
そこでまず、避難等のための判断基準の見直しを速やかに行い、「原子力艦の原子力災害対策マニュアル検証に係る作業委員会」において、避難等の実施範囲が充分であるかどうかも検討させることにしました。
万が一に備える体制をしっかりと作ってまいります。