新国立競技場のゼロオプション

2015.08.06

ゼロ・オプションというのは、国立競技場を新たにつくらないという選択肢です。

現在の我が国の財政状況を考えれば、たとえオリンピックといえども無駄なコストをかけることは避けなければなりません。

政府としてまず検討すべきことは、本当に、新競技場を国費で建設することが必要かどうかです。

オリンピックのために新国立競技場に必要な要素は三つです。
開会式、閉会式のための六万人収容のスタンド
陸上競技のための三万人収容のスタンド、サブトラック
サッカーのための天然芝、五万人収容のスタンド

陸上競技の大会には、サブトラックが必要です。

しかし、新国立競技場にはサブトラックをつくる場所がありません。これまでの計画では、外苑の軟式野球場にサブトラックを仮設でつくり、オリンピック後に取り壊すというものです。

オリンピック後は、立派な陸上競技場は残りますが、サブトラックがない以上、この競技場では、国際大会はもとより、全国大会すら開催できません。

陸上競技のためのスタンドは、三万人で十分です。三万人のスタジアムがあれば、世界陸上を開催する条件も満たすことになります。逆に、五万人、六万人のスタジアムでは大きすぎます。

一方、サッカーには五万人のスタンドと天然芝のピッチが必要です。

陸上競技のトラックをつくれば、観客席とピッチは離れ、臨場感はなくなります。しかも、そのトラックでは陸上競技の大会を開催できない(サブトラックがないため)ならば、陸上競技にもサッカーにも必要ないトラックのために、無駄なお金をかけ、しかもサッカーは観戦しにくいものをつくることになります。

スタンド五万人ないし六万人の陸上とサッカー兼用の競技場でサブトラックなしという選択は、オリンピック後の使い勝手を考えれば最低です。

新競技場に必要な三要素、開会式・閉会式、陸上競技、サッカーのうち、陸上競技とサッカーには代替案があります。

代替案として、まず、駒沢競技場を改修して、三万人のスタンドとサブトラックをもつ第一種の陸上競技場にすれば、オリンピック後も陸上競技場として使えますし、世界陸上ですら開催することができます。

あるいは新横浜の日産スタジアムを使えば、コストをかけず、そのままオリンピックの陸上競技を開催することができます。

サッカーの場合は、味の素スタジアム、さいたまスタジアム、日産スタジアムという代替案があります。

陸上競技場あるいはサッカー場は、新たに建設しなくともオリンピックを開催することはできます。

残る開会式・閉会式に関しては、現状では六万人収容のスタンドというIOCの条件があります。

しかし、それも開会式をスタジアムでやらない方法をとれば必要なくなります。

今、オリンピックの施設にかかる費用が負担となり、ブラジルや韓国は困っています。

夏のボストンや冬のオスロをはじめ、オリンピック招致を辞退する都市が続出するなかで、IOCにも条件を見直す動きが出ています。

そんななかで、東京から新たな開会式のあり方を模索することを申し出て条件の変更を協議することはあり得ると思います。

スタジアムという閉鎖的な空間から飛び出した、これまでにない開会式・閉会式で、新しい日本をアピールすることもできるでしょうし、何十万人が開会式を見るだけでなく、参加するような方式も取れるかもしれません。

これまでそうやっていたというだけで、スタジアムでの開会式や入場行進を前提として考えるのではなく、それすらも進化させたオリンピックという考え方もあると思います。

立候補ファイルにこう書いたとか、総理がこう発言したということを白紙に戻し、政府は真剣にゼロ・オプションを検討すべきだと思います。

オリンピックだからといって、金に糸目をつけずというわけにはいきません。

オリンピックであっても活用できる施設は活用し、アイデアで費用を抑える時代だと思います。

白紙撤回なら白紙から考える、ゼロ・オプションをとことん追求すべきだと思います。



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