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隠された報告書
2015.07.12
移植のために臓器が提供されたときに、どの患者にその臓器が提供されるべきなのか、そのあっせんを行っているのが公益社団法人 日本臓器移植ネットワークという組織だ。
ところがこの二年間に、あっせんの間違いが三回起きている。
臓器移植の信頼にもかかわる重要な事件なので、厚労省が立ち入りを行ったりして、再発防止のための処置を取らせることになった。
ネットワークは、東京大学医学教育国際研究センターの北村聖教授を座長とする第三者委員会を立ち上げた。
限られた時間の中でこの第三者委員会はかなりきちんと問題を追究し、報告書を6月9日に出した。
コンピュータがロジックに基づいて解を出すべきところに、不必要に人間が判断する部分が残されていて、それがミスにつながった。
ネットワークの組織内で、地域ごとに違ったやり方が残されており、統一した手順が定められていない。
現場とトップの間の意思疎通が上手くできていない。
等々の問題点が指摘されている。
ところが、ネットワークの執行部は、この報告書を公表していない。
厚労省によれば「同法人において現在まとめている改革方針のとりまとめ公表の際においてあわせて公表」しようとしているそうだ。
ネットワークの理事ですら、理事会でこの第三者委員会のオブザーバーであった監事から説明を受けたあと、報告書そのものは回収され、手元にない状態だ。
社団法人を構成する会員には、まったく報告書の内容が知らされていない。
ちなみに、第三者委員会の指摘には、オープンな組織であることと透明性を確保することが含まれている。
厚労省の説明では、ミスの責任を取ってネットワークの執行部は退任したのだが、後任は既にやめたはずの理事長に一任されたという。
そんな人事の決め方は、ネットワークの組織のルールから逸脱している。
そもそも理事会が機能していないということは、第三者委員会の報告書にも明記されており、厚労省もはっきりと理事会が機能してこなかったと明言している。
行革本部では、まず、第三者委員会の報告書を世の中に公表し、第三者委員会から公益社団法人日本臓器移植ネットワークの正会員に対して報告書の内容を説明し、正会員によって理事を選ぶための手続きがきちんと進められるように求めた。
ガバナンスがおかしな組織は必ず間違いを起こす。
日本臓器移植ネットワークへの信頼性は、日本の臓器移植への信頼性でもある。
ネットワークの正会員にはそうした自覚をもって、きちんと必要な時には声を上げ、行動をしていただきたい。
追伸:昨日の指摘を受けて、ネットワークは報告書をホームページ上に掲載した。しかし、それについてメディアに対して、ネットワークからも厚労省からも何のアナウンスも行われていない。