財政ファイナンスのリトマステスト

2015.06.19

政府が借金をするときに、国債を日本銀行に直接買ってもらうことは厳禁されています。

では現状はどうでしょうか。政府が出す国債をいったん金融機関が引き受けておいて、一呼吸置いて後ろで待っている日銀に買ってもらっているように見えます。

たしかに日銀が直接買ってはいないけれど、それに限りなく近いのではないかという批判が内外から起きています。

2012年12月26日に第二次安倍内閣が発足し、翌2013年1月22日に政府と日銀が共同声明を出しました。

「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のため」に政府と日銀が政策連携をして、日銀は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とし、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現する、政府は、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進する、というものです。

3月20日に黒田新総裁が誕生し、4月4日に質的・量的金融緩和がスタート、年間50兆円のペースで日銀による長期国債の買い入れが始まりました。

そして2014年10月31日に量的・質的金融緩和が拡大され、年間80兆円のペースで日銀による長期国債の買い入れが行われることになりました。

2012年末に89兆円だった日銀の保有長期国債は、2013年末に142兆円、2014年末には202兆円、2015年5月末には237兆円まで拡大しています。

これはもはや日銀が政府の借金を引き受けている財政ファイナンスではないかと批判されています。

それに対する日銀の答えは、これはあくまでも物価上昇率2%を達成するためにやっているので、財政ファイナンスではありませんというだけです。

しかし、物価上昇率の目標達成のためなのか、財政ファイナンスなのか、どこで見分けるのかといえば、物価上昇率2%が達成されて、金融緩和が終了に向かえば、これは物価上昇率の目標達成のためにやっていたことだとわかる、もし、物価上昇率の目標が達成されても金融緩和が続けば、それは財政ファイナンスだ、ということです。

日銀の局長も3月19日の自民党の特命委員会で、「日銀による国債購入が財政ファイナンスではないかと疑われているのは知っている。そして、財政ファイナンスではないと我々が説明しても信じてもらえるとは思っていない。なぜならば、財政ファイナンスかどうかは出口がくるまでは判別できないからだ。」と発言しています。

しかし、出口がくるまでわからない、わかったときは財政ファイナンスでした、では困るわけです。

財政ファイナンスではないということを知らしめるためにも、日銀はもっと政府に対して強く、政府の責任を果たせというべきだと思います。

たとえば、日銀の資料を見ると、成長率のなかでTFP(全要素生産性)を1%以下とみていることがわかります。

それに対して、内閣府の経済成長ケースでは、TFPは2%を超える前提になっています。

だからこそ、経済成長を高くみて、税収が伸び、歳出削減は小さくてすむという絵が描けるわけです。

しかし、このTFPは高すぎる、もっとまじめに中長期の推計をやれば、歳出削減の必要額は高くなるはずだというようなことを日銀が政府にいってもよいはずです。

日銀は物価目標を達成する、政府は財政改革をやり遂げるというそれぞれの役割を果たしてこそ、このアベノミクスと異次元緩和が成功するはずです。

日銀が今やっていることは物価目標の達成のためなのだ、というならば、日銀は政府に対して、財政改革をもっときっちりやれというべきだと思います。

そこをなあなあにして、何も言わず、黙って国債を買い続けているという今の姿は、財政ファイナンスにしか見えません。

そうでないならば、はっきりと政府にモノを言いながら、自らの責務を果たすべきだと思います。



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