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プライバシーとテロ対策
2014.02.19
日米重大犯罪防止対処協定の自民党内の審査が進む。
今週は月曜日に日弁連等、火曜日にアメリカ大使館から意見をうかがった。
日米の査証免除は、日本にとってだけでなくアメリカにとっても今や不可欠なものとなっているせいか、他の三十数か国との協定と比べて、アメリカは日本には随分と譲歩している。
アメリカは、日本に対してFBIを窓口にして遺留指紋を含め捜査機関が持つ7000万人分の指紋をすべて、照合に使わせる。
それに対して、日本側は、日本国内の犯罪現場等の遺留指紋は一切出さない。
アメリカからの照合に対しては、まず、犯罪現場に残された誰のものかわからない指紋に関しては、警察庁のデータベースの指紋のうち、遺留指紋を除くすべて、1040万人への自動照合を認める。
しかし、アメリカ側がすでに指紋の持ち主は誰々であると個人を特定して、その者の指紋の履歴を照合に来た場合は、提供する指紋から無罪確定者及び嫌疑不十分で不起訴になった者の指紋を除いた残り400万人分に限る。
第一段階の自動照合に対しては、お互い、その指紋がデータベースに含まれているかどうかだけを回答する。
指紋がデータベースでヒットしなければ、それで終わりだが、ヒットした場合は、次にその指紋の持ち主に関する情報を要求することになっている。この際、どんな犯罪に関連した指紋であるかを必ず附けてくることになっている。
もし最初の照合でヒットしているのに、次の照合をしてこない場合は、なぜ、照合してこないかをお互いに確認することができるようになっている。これにより、最初の照合がルール違反ではないことが確認できる。
ヨーロッパや韓国は、指紋に加えDNA情報も提供することにしているが、日本はDNA情報は交換しない。
今後、東京オリンピックまでにテロ対策の強化が必要になってくるが、どうやっていくのか、政府の今後の方針を確認することになった。
国連条約に入るならば共謀罪を創設することが必要になるし、EUを中心とする条約ならばDNA情報の提供が求められる。
現在、警察庁が保有する1040万人分の指紋は、そのための法律により保有が認められているわけではない。国際的な交換のためにDNA情報を保有することになると、証拠としての生体情報を保有するための法律が必要になるだろう。
現在、警察が保有している1040万人分の指紋は、死亡が確認された者は除いた数字である。このうち400万人分が有罪確定者であり、さらに200万人分は起訴猶予された者の指紋だ。
このうち最近10年間程度に導入された新システムに登録されている指紋が、アメリカ国内で個人が特定された場合の指紋の履歴照合のための提供の対象となる。
FBIは、アメリカに査証免除で入国した日本人の入国管理時での指紋をもっており、アメリカ国内での遺留指紋のマッチングにはそうした指紋も使っていることが分かった。年間約300万人を超える日本人が査証免除でアメリカに入っているから、ひょっとするとFBIが持っている日本人の指紋は警察庁が持っている指紋よりも多いかもしれない。
このFBIの保有している日本人の指紋は、そのほとんどが日本国内での犯罪歴のない日本人のものということになる。日本の警察がそれに対して国内の犯罪現場の遺留指紋を照合できるようになる。
まず、この協定で日米間の情報の共有をスタートさせるが、運用をしっかりと確認しながら進めることを条件とした。
ここから先のテロリスト対策をどうしていくのか、情報をきちんと公開しながら進めていく必要がある。