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自殺予防 メディアのための手引き
2012.11.07
先日、山内康一代議士もブログで取り上げていたが、WHOは、自殺を予防するためのさまざまな手引きをまとめており、そのなかにメディア向けの「自殺予防 メディア関係者のための手引き」がある。
内閣府の共生社会政策統括官のホームページに、この手引きを要約したものが載っている。
一、努めて、社会に向けて自殺に関する啓発・教育を行う
一、自殺を、センセーショナルに扱わない。当然の行為のように扱わない。あるいは問題解決法の一つであるかのように扱わない
一、自殺の報道を目立つところに掲載したり、過剰に、そして繰り返し報道しない
一、自殺既遂や未遂に用いられた手段を詳しく伝えない
一、自殺既遂や未遂の生じた場所について、詳しい情報を伝えない
一、見出しのつけかたには慎重を期する
一、写真や映像を用いることにはかなりの慎重を期する
一、著名な人の自殺を伝えるときには特に注意をする
一、自殺で遺された人に対して、十分な配慮をする
一、どこに支援を求めることができるのかということについて、情報を提供する
一、メディア関係者自身も、自殺に関する話題から影響を受けることを知る
この「手引き」本文は、かなり具体的にとるべき報道の方法にも触れている。
「これまでに、50を超える模倣自殺の研究がある。体系的なレヴューは、どれも一致して同じ結論を出している。
それは、メディア報道が模倣自殺を引き起こしているということであり、さらに、そこにはいくつかの特徴があるということも示されている。
経時的には、報道開始から最初の3日間にピークがあり、約2週間で横ばいとなり、時に長く遷延するということである。
それは、情報の量と影響力に関連し、特に、報道の繰り返しによる多量の情報と、強い露出度と最も強く相関する。
それは、報道された人物とそれを読むユーザーに何らかの共通点があると、より強調されることになる。
若者、うつ病に罹患している人においては特にその傾向があらわれる。
さらに重要なこととしては、特殊な手段を用いた自殺について詳細に伝えることは、その手段を用いた自殺を増加させるということであろう。」
「自殺既遂や未遂の方法を詳しく述べることは避けなければならない。なぜなら、それをひとつづつ順を追って述べることで、自殺に傾いているひとがそれを模倣するかもしれないからである。
たとえば、大量服薬の報道において、その薬物の詳しい名前や量、同時に服用した薬物、あるいはそれをどのように入手したかを伝えるのはまったく賢明ではない。
その自殺の手段・方法が特殊な場合には、特に注意が必要である。
その特殊な自殺は報道する価値が高いように見えるかもしれないが、報道によって、同じ手段・方法で他の人が自殺をするきっかけをつくってしまうことになるのだ。」
「自殺の話題を、目立つところに掲載したり、過剰に繰り返し報道することは、自殺をそっと報道するよりも模倣自殺を引き起こしやすい。
自殺に関する新聞報道は、第一面や、中のページの最上部に掲載されるよりも中のページの最下部に掲載されるようにすべきである。
同様に、テレビの報道番組においても、自殺の話題は、番組のトップではなく、番組の流れにおける最初の区切りか、2つ目の区切りの後に報道すべきである。」
「見出しでは、“自殺”のことばを使うべきではないし、同様に自殺の手段・方法や場所についての言及も避けるべきである。」
「その死について十分な調査がなされていない状況では、自殺はいつも、『試験に失敗した』とか、『人間関係が破綻した』とか、あるいは個人的な出来事のせいにされがちである。自殺が、個人の抱える問題を処理する方法であると報道されることは絶対にすべきでない。」
少なくとも内閣府は自殺に関する記者会見等でこのガイドラインを各メディアに説明してきている。では、各メディアの報道はこのガイドラインを遵守したものになっているといえるだろうか。