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菅直人リスクと政府案
2012.05.10
原子力の規制組織の議論がそろそろ始まるだろう。
先週の日曜討論で、民主党の国対委員長が、与野党間の実務者協議が進んでいるという発言をしたそうだが、自民党の環境部会/PTの会合で、誰がこの協議をしているのかと話題になった。
このPTを引っ張ってきた吉野環境部会長、塩崎PT座長、柴山事務局長、井上国対副委員長をはじめ、PTで議論してきたメンバーは、だれもこの「実務者」協議に参加していない。
ということで、「実務者」協議なるものがあったとしても、それは無視することになった。(ほんと、誰がやってんだろうね!?)
どうも最近、自民党の原子力がらみの意思決定はこういうことが多い。
法案の話をすれば、政府案の第72条の3はこうなっている。
「環境大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を原子力規制庁長官に委任する。」
このかっこ内は、政府は、はじめ、非常事態が生じた時を想定していた。非常事態が起きた時は、規制庁から環境大臣が権限を取り戻すということだった。つまり、まるっきり菅直人リスクが残ることになる。
で、さんざん批判されたので、細野大臣の国会答弁でこれを修正した。つまり、政令で定めるものは何も想定していません、というのが現在の政府の立場だ。つまり、規制庁に対して、環境大臣には何の権限もありませんよ、菅直人リスクは発生しませんよ、というのだ。だったら、このかっこを削除すればいいのに。
ところがこれと一緒に政府が出してきた原子力災害対策特別措置法の改正案の第20条2項を読むと
「原子力災害対策本部長は、当該原子力災害対策本部の緊急事態応急対策実施区域における緊急事態応急対策を的確かつ迅速に実施するためとくに必要があると認めるときは、環境大臣に対し、規制法第64条第3項の規定により必要な命令をするよう指示することができる。」
原子力災害対策本部長、つまり首相は、何の権限もないはずの環境大臣に対して、必要な命令をするよう指示することができる?
そりゃ、環境大臣は、困るだろう。総理からの指示は来るが、自分にはなんの命令も出す権限もないのだから。
で、政府側の答弁は、権限のないカラの環境大臣を介して、対策本部長の指示が規制庁に伝達される、ということだそうだ。
権限のない環境大臣が指示を右から左に伝達するんですというのも馬鹿な話だが、それが本当なら、100%菅直人リスクが残るではないか。
しかも、今よりも、様々な仕組みがわかりにくくなって。
ということで(政府案には、他にもいろいろ馬鹿馬鹿しいことがあるが、馬鹿馬鹿しいので説明は割愛)、自民党の環境部会では、政府案はバツ、自公案を丸呑みすることを政府に求めるという結論に達した。
次回、勝手に実務者協議なるものに参加している奴を呼んでこいという話もあったが。