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穴だらけの納税者番号
2012.01.28
自民党の年金制度の抜本改正を考える会で、内閣官房から、税と社会保障の番号制度についてヒアリングする。
残念ながら、この番号制度ではどうにもならない。
所得をきちんと捕捉した上で、社会保障の給付をやろうというのが狙いの一つのはずだが、この番号を入れても所得の把握ができないのだ。
なんといっても金融資産の把握が全く考慮されていない。
たとえば、金融資産。銀行の預金などの利子所得に関しては、番号の対象外になっている。口座に番号をつけて、その利子を把握すればよいはずなのだが、財務省の主税局の猛反対で、その部分が今、準備されている法案には盛り込まれない。
特定口座以外の配当所得も家賃による所得も同じだ。
どうも民主党政権は、この番号制度を導入して、所得を捕捉して、社会保障給付を適正化するということで作業を始めたのではなく、今ある書類に番号を振るという作業をしているようだ。
これだけの番号の導入をするのだから、所得の捕捉、社会保障の給付をシステムから変更するのが正しいやり方ではないかと思うのだが、なにも今のシステムを変えない。
つまり、この番号制度では、スタートしても所得を全て把握しきれない。ということは、それぞれ個人の所得の把握からスタートする給付付き税額控除は導入できないのではないか。
野田政権の説明は、消費税の逆進性は、給付付き税額控除で対応するとしている。
1月6日の素案では、「番号制度の本格稼働・定着後の実施を念頭に、関連する社会保障制度の見直しや所得控除の抜本的な整理とあわせ、総合合算制度や給付付き税額控除等、再配分に関する総合的な施策を導入する」とある。
が、そもそもこの番号制度では給付付き税額控除ができない。
消費税は、まず8%への引き上げがありきだが、約束している逆進性への対応は、始まらない、いや、始められない。この番号制度の想定では、2015年以降からこの番号が利用開始になるので、仮に金融資産の把握ができる番号システムであっても、2014年の8%への引き上げ時には、そもそも間に合わない。一桁税率なら対応は要らないということなのかもしれないが。
不退転の決意のわりには、今度の消費税増税の準備はざるだ。