原発を増やさないために

2011.04.18

この夏の電力の供給力が議論される時に、鍵を握っているのが揚水発電だ。

必ず、揚水発電抜きでどれだけ、揚水発電込みでどれだけというように数字があげられる。しかも、揚水発電がどれだけできるのか、東京電力も経産省も今ひとつ煮え切らない。しかも、その割に揚水発電の能力がかなりたくさんあることに驚く。

なぜ、揚水発電の能力は、こんなにあるのだろうか。

原子力発電には二つの電力供給量の制約がある。一つは設備容量、つまり最大限どれだけ発電をできるかという能力だ。いうまでもなくこれを超えて発電することはできない。

しかし、原子力発電にはもう一つの制約がある。それは夜間の最小電力需要量だ。

原子力発電は、構造上、発電量を簡単に上下することはできない。だから原子力はベースロードと言われ、一定量の発電をずっと続けて運転する。需要量が増えた時に、電力会社は火力や水力の電力を増やして対応していく。

逆 に、需要量が減ったからといって、発電量を落とすこともしにくいのが原子力だ。だからもし、日中の最大消費量が100、夜間の最小消費量が50、原発の設 備容量が70だとしても、原発は最小消費量を超えて運転しにくい。原発は最小消費量にあわせて50で運転しなければならない。もし、70で運転してしまう と、夜間に消費がそれを下回る時に、発電量をそんなに急に絞ることができない。

そこで出てくるのが揚水発電だ。原発の設備容量70と最小 消費量50の差を埋めるために揚水発電所をつくり、夜間、原発の電気が余り始めたら、その電気を使って水をくみ上げる。つまり、原発の電気が余らないよう に揚水発電所をつくって、夜、電気が余る時に電気で水をくみ上げ、昼間、その水で発電をする。

だから原発と揚水発電所はセットなのだ。(セットだというと原発のコストに揚水発電所を入れなければならなくなり、原発電力のコストが高くなるから、経産省も電力会社も別物だという顔をする)

だから、揚水発電の能力がこんなにあるのだ。

フ ランスは、80%が原子力というが、それはちょっと違う。フランスだって最小消費量を超えて原発を動かすことはできない。しかし、フランスの場合、他国と 送電線がつながっていて、ドイツその他の国に電力を販売している。だから、他の国の最小消費量を足していった分だけ夜間も発電できる。フランスが原子力で これだけ発電しているというのとフランスが消費している原子力の電力がこれだけだというのは違う話だ。

原発を増やそうと企む経産省と電力 会社と電力族の政治家は、何とかして夜間の消費電力をあげようと様々な努力をしてきた。そう、あれもこれもそれもみんな夜間の電力消費を増やし、原発の増 設を可能にするために推進されてきた。だから彼らはピークカットとはいわない。ピークシフトという。ピークシフトして、夜間の最小消費量をボトムアップす る。これが彼らの夢だ。

これを理解せずに、単純に、昼間の電気を節約して夜にそれを回そうなんてことをうかつに言うと、彼らがぺろりと舌を出す。



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