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原子力政策の分かれ道
2011.03.27
アジアから日本への応援メッセージ http://www.asiaforjapan.com/
かつて、六ヶ所村に建設された再処理工場のアクティブ試験を始めようという時に、政策転換の議論が起きた。
今、アクティブ試験を止めればこれ以上の税金を無駄にしないですむが、一度、アクティブ試験を実施すればプルトニウムで施設が汚染され、その後、引き返そうとしても莫大な税負担が発生する、だから、ここで政策転換をしようという主張だ。
プルトニウムを燃やす高速増殖炉は、1970年頃の予測では、21世紀初頭には商業的には利用できるようになっているはずだったが、現実には高速増殖炉の開発は全く進まず、当時でも、政府は少なくとも2050年までは高速増殖炉の商業利用はできないと公式に認めていた。
既にヨーロッパに委託していた再処理により、日本が保有するプルトニウムは40トン近くにのぼり、それすら利用できないのに、六ヶ所村の再処理工場を稼働させて毎年、何トンものプルトニウムを取り出して、いったいどうするのか、という問題提起だった。
再処理工場の稼働に反対する2 http://www.taro.org/policy/saishori2.php
再処理工場の稼働に反対する1 http://www.taro.org/policy/saishori1.php
経産省内部でも、事務次官黙認の下、今でいう「ジャスミン革命」の芽が生まれ、「19兆円の請求書」(http://kakujoho.net/rokkasho/19chou040317.pdf)というタイトルの快文書が世論に訴えるために作成された。
残念ながら、マスコミはこれを黙殺し、自民党内でも政策展開の議論は広がらなかった。
当時、科学技術担当大臣経験者の「ウランもプルトニウムも同じなのに、なにガタガタ言ってるんだ」という発言もあり、かなり多くの議員は、核燃料サイクルとウランを原発で燃やすことの違いを理解していなかった。
あのときが、日本の原子力政策の転換の一つの大きな分かれ道だった。しかし、この福島の事故により、原子力政策に対する関心は、以前とは比べものにならないぐらい高くなった。
これまでのように、電気は必要だから原子力発電に文句を言うな、再生可能エネルギーなんてコストは高いし不安定だからダメに決まっている、といった乱暴な声は少なくなっていくだろう。
もう一度、徹底的な日本の原子力政策の見直しのための議論が必要だ。