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計画停電でいいのか
2011.03.26
東京電力には、大口の需要家を相手にする需給調整契約というものがある。契約者は、電力需要が逼迫した時に、電力利用を削減する義務を負う代わりに、割引料金が適用される。
この契約には、3種類あるそうだ。
通告後すぐに使用制限する契約(神戸製鋼所など23件)
使用制限1時間前までに通告する契約(約500件)
使用制限3時間前までに通告する契約(約700件)
三菱電機、富士通、NEC、日産、ホンダ、富士重工業、いすゞ自動車、サントリーなどもいずれかの契約をしている。
国会や中央官庁はすべてこの契約をしている。(この需給調整契約の調査をしたのはグリーンピースだ。)東京都23区の区役所も、豊島区を除いて全てが加入している。(豊島区役所は契約電力が500kW以下でこの契約の対象外。)
例えば、大学の中にもこの契約をしているところがある。
東京電力は、需給調整契約を結んでいるこれらの大口契約者に割引料金で電力を供給してきたわけだから、今回の需要調整で、まずこの契約者に対する供給抑制をしなければならないはず。
この需要調整契約をしてきた契約者に対する供給抑制がどの程度行われているのかを現時点で確認できない。
経産省は、これだけの計画停電を国民に強いておきながら、この需給調整契約は東京電力と契約者の民間契約なので、この契約に基づいた供給抑制については公表できないなどという。
需給調整契約の内容の詳細の説明すら、経産省は民間の契約だからと拒み続ける。
原子力発電関係でもよく見られる「国策」と「民間事業者の商業行為」の使い分けだ。
実際には、現在の計画停電では、超大口の需要家は対象から外していることを東電と経産省の両方が確認している。社会的な影響を考慮してということだそうだ。だが、どこが対象外になっているかは公開されていない。
そして、経産省も東電もこうした情報を肝心の節電担当大臣に出していないようだ。しかも、節電担当大臣の事務方は、ついこの間まで事業仕分けをしていたスタッフが担当している。辞令はもらったが、権限もスタッフも情報もないのが節電担当大臣だ。この体制で計画停電の検証などできない。
この無計画停電はなるべく早くやめなければならない。そのためには企業と家庭、それぞれに供給抑制をしなければならない。まず、この需給調整契約をきちんと見直し、一定期間の供給抑制を伴う契約であることを明確にした上で、一定量以上の電力の購入者に対して、今年に限り強制する、あるいは何らかのインセンティブを与えることにより相当量増加させるのが、最初の一歩であるべきだ。
そしてそれは政府の仕事である。
何の検証もせず、計画停電を「東電」にやらせてはいけない。