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国家公務員の協約締結権とスト権
2011.01.08
自公政権当時、与党と野党民主党が合意して、国家公務員制度改革基本法を制定した。これは、公務員制度改革は政権交代が起きたからといって進む方向が変わってはいけないと、与野党合意の上で制定したものだ。
ところが民主党政権になって、与党は勝手にこの基本法を改正しようとたびたび試みている。
それだけではなく、民主党政権では、『天下り』の定義も勝手に変え、天下りを監視する再就職等監視委員会の委員長や委員の任命も拒否し続け、大量の『裏下り』を既成事実化している。
だから退任四ヶ月のエネルギー庁長官が東京電力に天下るなんてことができる。
また、前原国交大臣(当時)を先頭に、現役出向という新たな天下りの手法を拡大しつつある。
そして、今度の通常国会に、また基本法に違反して、内閣人事局を骨抜きにして、人事院を裏で延命させる公務員庁をつくるという法案を民主党政権が提出を企てている。
1月7日の朝8時から自民党とみんなの党で、共同勉強会をスタートした。両党が共同提案した国家公務員法改正案の修正を視野に、民主党の法案に対する対案を作成していく。
現在、国家公務員には争議権(スト権)はない。他方、警察職員等を除き団結権は認められている。国有林野と特定独立行政法人の職員には団体交渉権が認められている。
そしてこの労働基本権の制約に対する代償として人事院勧告制度などが設けられている。厳密に言うと、人事院勧告の対象となるのは64万人の国家公務員のうち、一般職(30万人)の非現業国家公務員274000人である。しかし、30万人の特別職や3000人の検察官などは人事院勧告に準じて措置されることになっているため、人事院勧告によって給与が変わることになる。
これから先の公務員制度改革の大きな争点は、団体交渉権のうち協約締結権を国家公務員に与えるかどうか、そしてそれにより人事院を廃し、労使交渉で給与改定をできるようにするかどうかということ。
民主党政権は、さらにその先の公務員のスト権についても結論を出すとしている。
本来、基本法に則り、与野党で議論して決めるべき公務員制度改革を一方的に変えようとしている民主党政権にうさんくさいものを感じる。