鳩山総理辞任の陰で..
2010.06.02
鳩山総理が辞意を表明。それはそれとして...
5月21日に、ジュネーブでアメリカのマイケル・バンクWTO大使とEUのジョン・クラーク代理大使が郵政法案に対するWTO違反の深刻な懸念を表明した。
アメリカの国務省は、同盟国の日本の国内の政策決定の話だからとなるべく穏やかに穏やかにやってきたが、アメリカ・EUから送られた書簡についても亀井大臣はそんなもの見ていないと発言するなど、鳩山政権はかなり乱暴な対応をしてきた。
EUは、日本のこの郵政の対応を放っておくと、韓国、中国、インドがそれぞれ自国の金融・サービス産業における内外無差別の原則を崩すことにつながりかねないと、かなり真剣に対応を考えているし、アメリカは、オバマ政権が通商政策がないと言われているなかで、唯一、攻めの政策を打ち出せる郵政問題でのWTO提訴に力を入れてくるだろう。
総理辞任で、インターネットの選挙利用の法案まで吹っ飛んだ感じがある中で、郵政法案だけはやるといっている民主党の一部議員の声があるが、それは著しくこの問題を大きくすることになる。
オバマ政権は、中間選挙のあと、米韓FTAを議会に持ち出すだろう。
アメリカが議長国を務めるAPECの前に、アメリカで最初の太平洋出身の大統領を自認するオバマ大統領が、アジアとのFTAを進めないはずがない。
国務省の高官が、アジア各国との首脳会談で一番うまくいったのが韓国のイ・ミョンバク大統領との会談だと言っている。両国関係のビジョンを語るイ・ミョンバク大統領の話にみるみるオバマ大統領が引き込まれていったそうだ。
先日、ワシントンでは、今、アジアで最も頼りになるパートナーは韓国だという講演が行われたりと、米韓関係がどんどん深化しているのと比べて、日米同盟には深刻な危機が訪れている。
1日だけの審議で強行採決をして、参議院選挙対策ができたといって喜んでいると、日米、日EU関係にとんでもない問題を残す。
鳩山総理・小沢幹事長ともに辞任で軌道修正するチャンスを得たのだから、民主党は、このでたらめな郵政法案をもう一度、まじめに考え直すべきだ。