生物の教科書

2008.12.09

高校の生物の教科書は、教科書検定で平均して200か所ぐらいに検定意見がつけられる。これは物理や化学、数学の教科書につけられる検定意見がせいぜい十数カ所であることを考えると、文字通りに桁違いだ。

この7年間で三点の生物の教科書が不合格になっている。高校の理系の教科書で不合格になったものは生物以外にない。

学習指導要領を作成した委員会の委員長が作った生物の教科書も不合格になった。

生物の教科書につけられた検定意見を見ると、思わず笑ってしまうものもある。

教科書の導入部で「カエルの子はカエルと言われているように」というところには「種が不変であるかの印象を与えるので不適切である」というコメントがついた。

「カエルはカエルから生まれ、ヒトはヒトから生まれる。トビからタカは決して生まれない」というところには「遺伝現象には規則性があるということの理解に資する程度を越えている」。コメントの意味がよくわからない。

「仮説は検証された」という記述は「不正確である」として「仮説は正しかった」に修正された。

関連する現象を取り上げるときは、三つまで。四つ以上並べると削ルようにコメントがつく。

化学の教科書でイオンの記述がなくなったため、神経伝達のところではナトリウムイオンのかわりにナトリウムという言葉が使われるようになったが、これは明らかに誤っている。

DNAの関連で「ヌクレオチド、塩基配列」は「遺伝情報、文字」に修正され、「アデニン、グアニン、シトシン、チミン」は「Aという物質、Gという物質、Cという物質、Tという物質」に修正。

しかも最近の10年近く、生物1の教科書から「進化」というものが全て取り除かれた。生物の進化は生物2の教科書でなければ扱われない(生物2の履修率は2%程度しかない)。
ちなみに学習指導要領で生物を担当した委員長は、生物進化の教授だったのに。

教科書の検定プロセスが不透明であることは常々指摘されており、科学の分野の教科書が、こういう状況ではアカウンタビリティがないといわれても仕方がない。

文部科学省の事業の政策棚卸しをやって、文部科学行政をお金の観点から見てきたが、その他にも議論すべきところがたくさんあるようだ。



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