格好悪い上司
2007.05.10
教育問題の大きな問題は、誰でも教育について議論できるということかもしれない。
誰にでも自分の経験や自分の子供の経験をもとにした意見があるだろうし、マスコミの報道や評論家の意見を引っ張ってくることも可能だ。
だが、教育の議論のなかで、きちんとしたデータに基づいて、合理的な議論をしているものは非常に少ない。
今行われている教育再生会議も議事録などを見ると似たり寄ったりだ。学力は低下しているのかということについてさえ、データに基づいてきちんと相手を説得できるだけの議論をしているとは言い難い。
選択の自由を増やせば、差は出てくる。教育の中で格差を付けてはいけないと言うならば、なるべく画一的にやるべきだ。
しかし、再生会議の提言は学校選択の自由を増やし、なおかつ教育の格差を絶対になくすべきだという。これは二律背反していることになる。
最近の風潮として、問題が起きると教育が悪いとか政治が悪いというように、何事も政治と教育が諸悪の根元のように語られることが多いが、政治はとも
かく、教育は、とくに学校教育は万能なのだろうか。教育ができることとできないことがあるのではないか、教育でやるべきものとそうでないものがあるのでは
ないか。
義務教育のなかの公立学校ができること、やるべきこととそれ以外の手段が必要なことをきちんと区別して教育の議論をしているだろうか。
そんなことを考えながら、自民党の中で教育の研究会を立ち上げて、議論してきたことを雑誌「世界」の最新号にまとめて発表した。
朝日新聞は、「教育再生会議を皮肉った」など書いているが、そうではない。きちんと再生会議に対して問題点を指摘し、議論を呼びかけている。
(なにかというと「皮肉っている」という紋切り型の記事の書き方はなんとかしてほしい)
ちなみにメンバーは、後藤田、橋本(岳)、篠田、上野、それに山内(事務局長)と僕。
衆議院の法務委員会の民主党の理事が変なのは、僕が副大臣をやっていた頃からだが(いや、もっとその前からだが)、最近はものすごくおかしい。
高山智司さんという民主党の国対副委員長を兼務している人が理事をやっているのだが、国会戦術は小沢さんの指示なのかどうかしらないが、委員会を開くこと
に同意しない。国会なのだから議論しないというのは職場放棄だと思うのだが、国会は不正常な状態だと言って日程協議ができないそうだ。(他の委員会は全て
正常に動いているから不正常なのは国会ではなく法務委員会だけ、それも民主党だけなのだが)。
で、七条法務委員長が委員長職権で委員会をたて、審議して、では採決ということになると、委員会にも反対しているぐらいだから強行採決という形になってし
まう。(台湾の国会の強行採決は本当にガチンコでケンカしているようだが、日本の強行採決は、野党が「俺達はこんなにがんばっているのに、与党に強行採決
されてしまった」というアリバイを作るためのものだから、「けがしないようにやれ」というのが与野党を通じて最も大事なことになっている)
今回も、更生保護法案という全国の保護司さんがたいへん長らく待ち望んでいた法案が、法務委員会では強行採決された。
それが本会議にかかると、なんと民主党から討論の申し出。
ところが、委員会で民主党が日程協議にも応じずに強行採決になった法案に対して、本会議では賛成討論なのだ。
しかも、本会議の採決は、議長が御異議ありませんか、それに対して全党異議なしという異議なし採決。
あの委員会の強行採決は、いったいなんだったんでしょうかね、高山さん?
しかも、賛成討論は強行採決の原因を作った民主党の理事ではなく、大串さんという法務委員会のいわば平委員。上司の暴走を部下に尻ぬぐいさせるみたいな格好悪いことはやめましょうよ。