2005年4月1日号

2005.04.01

カタールのドーハでの会議に参加して、まず驚いたのがアメリカとフランスからの大勢の参加者だった。
大勢の下院議員を中心に乗り込んできたアメリカとミッテラン夫人を筆頭にこれも大勢で来たフランス。
カタールは、空軍の戦闘機はフランスのミラージュが中心になっていて、カタール航空はエアバスを使っている。F16の購入を決めたパキスタンに対抗するインドが、カタールから中古ミラージュを購入する交渉を始めているぐらいだ。
一方、カタールにはアメリカの空軍基地もあり、湾岸、イラクにおける米軍のオペレーションの中心になっている。
まさにエアバス対ボーイング、ミラージュ対ファントムの戦いが繰り広げられていたのかもしれない。
一方我が日本は、中東研究者とエコノミスト一名ずつに河野太郎。
全員が単なる参加者でパネリストはゼロ。日本のプレゼンスは無いに等しい。
(後知恵だが、パネリストの打診があった時に、名前だけ登録しておくという手はあったかもしれない。それなら国対の許可が出なくて参加できなくても、日本の議員がプログラムに載る)
日本はもっと中東に政治的なプレゼンスをというならば、こうした会議にもきちっと姿を見せることが必要だろう。
湾岸ではこの後、中東の競争力に関する会議、中東ダボスなどの会議が目白押しだが、どれにも日本からの参加者は少ない。政治的にはほぼゼロだ。
じつは河井政務官が会議の2日目に朝からドーハに入っていた。カタール航空の直行便が始まるということからなのだろうが、首長家があげて後押しをしている会議なのだから、そんな日程なら会議の中に政務官の出番をつくれば良かったのに。
(ちなみに僕がドーハに来た後、補欠選挙目前に副幹事長が海外へちゃらちゃら行きやがってという発言が日本であったらしい。そんな程度の認識しかない政治家もまだまだいる。ちなみに自民党の選挙の責任者である総務局長は、僕が帰国する日にカタール航空の直行便一番機でドーハに入る。えっ、偉い奴はなにしてもいいんだって?)

会議と並行して、首長、外務大臣とお目にかかる。日本とカタールの新世代リーダーの政治交流に協力をお願いする。首長の首席補佐官の王子が夕食会を開いてくれて、彼と外務大臣が窓口となることになった。
(ちなみに今回のJALNにはカタールから参加者がいなかった。)

会議では首長が基調講演の中で、アラブ諸国はパレスチナ問題の後ろに隠れてはいけない。民主化の遅れや発展の遅れはパレスチナ問題とは関係がないと言い切った。
会談の中で、民主化と首長家の役割について尋ねると、首長家は今後も政治的な役割を果たすことに変わりはないと答が返ってくる。
完全な立憲君主制というわけではないが、首長家が将来にわたってこの国で生き延びるためには民主化は避けて通れないという認識のようだ。

アラブはお茶で動く。
会議の合間にパレスチナの副首相にお父上はお元気ですか、と話しかけられ、そのままつかまってしばしお茶のお相手。パレスチナ問題についていろいろと表では聞けないお話をうかがう。
(もちろんすべてその部屋の中で忘れなければ行けないことばかりだ)
リンカーン・ブルームフィールド前米国国務次官補ともお茶(コーヒー?)を飲む。彼はアラビア石油の採掘権交渉の失敗はあれで良かったのではないかと言う。日本の石油戦略は、価格が高騰しても石油を買うことのできる経済力を持つことだと言い切る。クリントンが市場に放出した石油の戦略備蓄はほとんど高値でヨーロッパに持って行かれたと嘆いていた。
さらに、中国がビルマ経由でインド洋に出てくるのを阻止しなければならないという話が日本で流行っていることに彼はびっくりしていた。そんな話は欧米では誰もしていないよ、と。
もちろん彼はメジャーとアウンサンスーチーの肩を持っているのかもしれない。でも、おもしろかった。
日本は中東と交渉する時にたくさんの文書を作って送りつける。スタッフの数が限られている中東側はこれをとても読みこなすことができない。日本側は相手の準備不足をなじる。日本側は同じような年齢の交渉団なので中東側は誰に向かって話しかけていいのかわからなくて混乱する。だから、日本は代表団に年齢の高い、白髪の団長を入れなくてはダメなんだそうだ。
(ちなみにこのテクニックを開発した人物はバグダッドでサダム・フセイン時計を無くした彼の友人で、実はその人物は湘南ベルマーレにとっても大切な人だ)

会議ではアラブ側からアメリカに対する辛辣な意見が続出した。なかには911はモサドとCIAが共同で演出したものだと言いきる人もいて。アメリカ側の参加者は「立場が違う」を連発していた。

たしかに日本は中東との関係で政治的なプレゼンスを高めていく必要がある。が、最近の投資状況などを見ると日本はもう一度、経済のプレゼンスを高めていかなくてはならないような気がする。
ドバイで工事が始まろうとしている世界最高のバルジ・ドバイの工事も韓国企業がメインだし、金融や観光などのサービス業は欧米のスタンダードだし。



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