2005年2月8日号
2005.02.08
NHKと朝日新聞の件でコメントを求められる。
はっきり言って、この件に興味はない。
1971年にマクナマラ元国防長官が作成したペンタゴンペーパーがニューヨークタイムズとワシントンポストに掲載された。
アメリカ政府はこの文書を差し止めるためにいろいろとやったが、両紙は屈することはなかった。
ウォーターゲート事件の報道でも政権からの圧力に屈せずに真実が明らかにされた。
マスコミが第四の権力たらんとすれば、政府そのものの権力に対しても戦わなければならない。
いかに安倍晋三が若手の花形政治家とはいえ、その力などたかがしれている。仮に安倍晋三が圧力をかけたとしても、その程度の政治的圧力で転ぶマスコミなど、存在価値はない。
アメリカをはじめ、各国でマスコミが戦っていることに比べれば、今回の事件は、ままごと遊びだ。
だいたい朝日新聞もNHKも記者クラブの常連ではないか。身内で固まり、部外者は排除する組織の内側にいながら、報道の自由とか独立を言うか。記者クラブの暗黙の掟をみんなで守りながら、「政治の圧力をかけられた」とはちゃんちゃらおかしい。
宮内庁の圧力で皇太子殿下のご成婚報道をひた隠しにしたのは、いったい誰だ。宮内庁の「政治的圧力」には喜々として屈しておいて安倍晋三からの政治的圧力(仮にあったとしたらだが)を特別に問題視するのか。
8日付の新聞に、「法務省は不正流用が指摘されている検察庁の調査活動費について適切に執行されているとの報告書を衆院予算委員会理事会に提出した」という記事があった。「元幹部が主張する不正流用問題は現時点で調査する必要はないとしている」と、たんたんと事実を書いているだけだ。提出されたのは、調査をしてシロでしたというのではなく、検察庁は調査の必要がないと思ってますという報告だ。
お前のお腹は黒く塗られているという指摘があれば、腹を見せながら、そんなことはないといえばよいものを、服も脱がずそんなことはないといっているわけだ。
しかし、マスコミは、検察庁がそういう報告書を理事会に出しましたという記事を書いているだけ。
事実を書く、つまり検察庁が報告書を予算委員会の理事会に出したということを記事にするのはよろしいのだ。が、この報告書をどう評価するのか。評価はしないのだ。おとがめがあるから。
なんだ、とっくに権力に、権力の圧力にひれ伏してしまっているではないか。
六ヶ所村の再処理工場の問題に関して、まともな報道をしたマスコミはほとんど無い。電力会社の金の圧力に屈したのだ。
原子力発電所が事故を起こせば、電力会社の発表に基づいて、事故があったという事実は報道する。が、原子力政策について批判的な報道はしない。電力会社の金が逃げるからだ。
青森で六ヶ所村の取材を一生懸命やっていた新聞記者がいた。が、彼は本社に「栄転」になった。電力会社の圧力があったからだ。当然この圧力も記事になるのだろうね!
NHKも朝日新聞も、両者の喧嘩について論評している他のマスコミも、とっくに圧力に屈しているじゃないか。
記者クラブに入っているマスコミに、今回の事件についてどう思いますかと聞かれても、全く興味ない。