2005年1月22日号
2005.01.22
生体肝移植をテーマにしたテレビドラマが放送された。
そのあまりのひどさに怒り心頭。
医者がドナーの候補者に移植しなければ云々という場面など現実にはあり得ないし、ドナーになることを強制されることがあってはならない。何が何でも移植して命を助ければめでたしめでたしではない。
他にドナーの候補者がいない状況でドナーが必要だと切り出す場面に至ってはなにをかいわんやである。
ドナーになることを拒否した妹は、妻として夫と子供の将来を考えるという至極まともな決断をしたまでである。ドナーには手術の麻酔が効き始めるまでいつでも好きな時にドナーにやめることができる権利があるのに、一度決心したことを翻したと医者がなじることなどありえない。
これはドラマだからね、へへへっと笑える状況ならばいいが、生体肝移植というテーマで、そんなでたらめで非現実的なドラマをつくる必要はない。
生体肝移植は手術が終わればめでたし、めでたしではない。
レシピエントの一年後の生存率は90%以下である。移植をしたからといって娘の小学校の卒業をその目で見ることができるかどうかはわからない。
ドナーの47%には後遺症が出る。
現状の医療レベルでは、レシピエントは一生、免疫抑制剤を飲み続けなければならない。
それなのに、この夫婦ならばまるでバラ色の未来が広がっているかのようなことを暗示するのは馬鹿げている。
いろんな問題が山のようにあるにも関わらず、脳死移植ができないために生体肝移植が行われているのだ。番組の制作者はもうすこしきちんと考えてから脚本をつくるべきだ。