2004年8月4日号

2004.08.04

ある週刊誌の記者が愚痴をぶちまけていった。
再処理問題を追いかけていて、結構、取材でいろんなネタをつかんでいたようだが、編集長に握りつぶされてしまったという。
その週刊誌は別に電力会社は怖くないのだが、その出版社全体を考えるとビジネス的な影響が大きいと記事はボツ。
こんな週刊誌が社会保険庁や三菱自動車に関しては、鬼の首でも取ったような報道をしているのだから、ため息がでる。

日経ビジネスに「原子力村の住人」からと称する再処理擁護論が載っている。かなり滅茶苦茶な主張だ。
「撤去に費用がかかるのは当然だし、後戻りはいつでもできる」
 施設をウラン試験で汚染してしまえば、撤去に莫大な費用がかかる。
 再処理をやるのかどうかが議論になっているときにウラン試験で施設を汚染してしまうような馬鹿なことをやめろと言うのが私の主張だ。
 きちんと結論が出るまでウラン試験を延期すれば費用はかからずにすむのだ。
 後戻りするときに無駄な費用がかからないようにしておくべきではないのか。

「施設は民間の費用で作ったものだ。国費は使っていない。..私権の侵害に当たる。」
 電力会社が負担したコストをどうやって消費者に転嫁するかという議論がずっと行われているではないか。
 税金だろうが電力料金だろうが、最終的に負担するのは消費者なのだ。民間の費用で作ったのだという発言は傲慢としかいいようがない。無駄な金を消費者に負担させることは、むしろ、消費者の権利の侵害だ!

「この再処理施設には20年の歳月と2兆円の費用をかけている」
 これはサンクコストの考え方を理解していない意見だ。これまでの費用は既に支払われてしまったものだから、今後の費用を考えるときには、これからの費用で損得を計算しなければならない。
 二兆円をどぶに捨てて我慢するのか、さらにもっとどぶに捨てるのかという選択なのだ。

「確かに使い捨て方式は便利で安い。だが、この方法が環境に与える弊害を考えなければならない」
 確かに使い捨て方式は便利で安いそうだ!(残念ながら、全体的にかなりでたらめな意見を言っている人の発言だから、その人の言ったことを他に引用しようとは思わない)
 処理しなければならない放射能は同じだ。ワンススルーならば使用済み燃料として処理をすることになるし、再処理をすれば使用済み燃料が高レベル放射性廃棄物とプルトニウムに分かれるというだけだ。プルトニウムを燃やせば、さらにMOXの使用済み燃料が出て、それを再処理するというサイクルが繰り返されていく。
再処理することによって、処理しなければならないものの重さは減っても体積が増えるならば、その方が処理しにくいのではないか。

「こうした問題(開発途上国のエネルギー消費や地球人口が増えること)を核燃サイクルは解決してくれる。原子炉で自然に生成されるプルトニウムを、燃料として再利用するからだ。しかも、高速増殖炉が完成すれば消費量以上のプルトニウムが生産される」
 プルサーマルではウラン燃料のわずか10%が再利用されるだけであり、「こうした問題」を解決しない。高速増殖炉で実現することをプルサーマルでも実現できるかのように説明するデタラメは電事連がよく使う手だ。
 高速増殖炉ならば、問題解決になるのだろうか。全ての発展途上国に、独裁国家であろうが、非民主的な国家であろうが、プルトニウムを取り扱わせようというのだろうか。核不拡散はどうなってしまうのか。

「19兆円には、今後40年にわたる再処理施設の運転費用のほかに、核のゴミを処分する費用など、原発に関わるコストが全て含まれる」
 これは嘘だ。19兆円の計算の中には再処理したプルトニウムを使ったMOX燃料の使用済み燃料を再処理する費用が入っていないのだ。だから、全てのコストを含むのではない。
 そして、7000億円と試算された再処理施設の建設費用が実際には二兆円かかったのだから、19兆円で費用が済むという保証はない。

「原子力村の住人」の知識、認識とはこの程度なのだろうか。それともわかっていて嘘をついているのだろうか。
原子力政策に関する重要な決定は「原子力村の住人」ではない人間がしっかりと下す必要があることがよくわかる。

原子力委員会が7月29日の会議で使った資料にもミスがある。
ウラン燃料を燃やした使用済み核燃料を再処理して作ったMOX燃料を燃やしてできた使用済みMOX燃料を再処理する施設は、ウラン燃料を燃やした使用済み核燃料を再処理する施設とは別なもののはずだ。しかし、原子力委員会の資料を見るとその二つの施設は同じもののように記載されている。
難しい話だからこそ厳密に記載するべきではないのか。

結局、使用済み核燃料の貯蔵プールが一杯になって原発が止まると責任を取らされる人達が必死に再処理と叫んでいるようだ。
その人たちにとって、他のことはどうでもよいのだ。



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