2004年2月23日号

2004.02.23

内閣部会で公益通報者保護制度に関する法案が了承された。
この法案は政府提案の法案だが、自民党の消費者問題プロジェクトチームの事務局長として岸田文雄座長と二人で、昨年から十数回のヒアリングと会議を繰り返してとりまとめに当たってきた経緯があり、この法案について正しい認識を広めていきたい。
この公益通報者保護制度に関して言えば、両サイドからいろいろと非難されている。
まず、マスコミは、この法案は生ぬるいと批判する。マスコミへの通報に関して、要件が少し厳しくなっていることが原因だ。その他に、弁護士会などももっと厳しい法案にしろという意見だ。
他方、こんな密告、たれ込みを奨励するような法案を作るのはけしからんという意見も根強い。企業側、あるいは連合など組合側も慎重にという意見をにじませる。
マスコミの報道は、もっと厳しい法律にしろという書きぶりが多いのだが、現実に寄せられる意見は圧倒的に密告社会を作る気かといった反対論が多い。

公益通報者保護制度は、一部に誤解されているように密告やたれ込みを奨励する法律ではない。
例えば、ある中小企業の社長が浮気をしている。これを通報してもこの制度では保護されない。なんでだ、悪いことをしているではないかと言われるかもしれないが、この社長さんが浮気しても、国民の生命身体財産には影響がない。もちろんこの社長さんの配偶者には多大な影響があるが、浮気の通報は公益ではない。
ある企業が脱税をしているという通報も、対象外だ。
これについてもおかしいという意見があった。脱税は悪いことではないか。確かに脱税は悪いことだが、それによって一般国民の生命身体財産に直接的に危害が及ぶことはない。
この法律で言う公益通報とは、ある企業が行っていること(例えば賞味期限の勝手な変更、放射能漏れの隠蔽、原産地表示の不当表示等)によって、国民一般の生命身体財産が直接危害にさらされるおそれがある場合にそれを防ぐ通報のことである。
つまり企業Aが悪いことをしたというのではなく、企業Aのした悪いことにより国民に危害が及ぶというケースを対象にしている。
だから刑法違反に関する内部通報は公益になる。
この法案では498本の法律を列記し、この498本の法律が定める法令に違反したことが対象になる。
この498本に関しても、そんなにたくさんの法律が対象になるのかという意見と法律を限定するな、あらゆることでやれという両極端のご意見がある。
繰り返すと、特定の企業をやっつけてやれという通報は、この法律の対象にならない。しかし、ある企業の行為が一般の国民の生命身体財産に害を及ぼすならば、それはこの法律の対象になる。
そういう通報も密告だからけしからんというご意見もあるが、そもそも国民の生命身体財産に危害を及ぼすような行為を企業はしないことになっているのだから、その行為を通報される前に、内部できちっと管理すべきなのだ。

マスコミにもっと通報し易くしろという意見とブラックジャーナリズムなどに通報されて悪影響が出るのではないかという危惧とこれも両意見ある。
この法案では、外部の通報先は、事実を通報することによって、被害の発生や拡大を防止することができると認められる者であり、なおかつその企業の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除くことにしている。だから総会屋などへの通報は保護の対象外である。

企業は、リストラの対象になった人間が、この法律に該当する通報を行うことによって、自分の職を守ることにこの制度を使うのではないかともおそれている。アメリカではこうした事例がかなりあるということらしい。
そうしたことも含め、まず対象の法律を限定し、周知期間をしっかりおいてこの制度を始めて見て、様子を見ながら手直しをしていこうというのが今回の提出の狙いだ。

ちなみに独占禁止法の改正案のなかに、これに似ていなくもない制度が盛り込まれている。
談合をやっていた企業のうち、一番最初にそれを認めた企業への罰則を減免するという措置減免制度だ。
これに関しても、密告、たれ込みの奨励ではないかという反対が根強い。ただ、この制度は欧米や韓国で既に実施されていて、日本企業もこの制度を使っている。それに、もともとやってはいけないことをやっていることがおかしい。
これに関しては独禁法調査会で塩崎事務局長の差配で議論が進められている。



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