2001年11月7日号
2001.11.07
5日に国連総会の第一委員会で、日本が提出した核兵器廃絶決議案の採決が行われた。
6日付けの外務省の資料によると、この日本が提出した決議案は、賛成124、反対2、棄権20の圧倒的多数で採択された、とある。しかし、ここで納得してはいけないのである。
確かに124対2対20というのは圧倒的多数かもしれない。ところがどっこい、昨年の第一委員会にも日本は同様の決議案を提出している。昨年の採決では、賛成144、反対1、棄権12だったのだ。
要するに、今年の日本の決議は、賛成した国を20も減らし、棄権した国を8も増やし、そして昨年はインドだけだった反対国が、今年はなんと同盟国のアメリカとインドになったのだ。
まともな神経ならば、今年の採決は惨憺たるものだったと言うのだろうが、外務省の資料は、そんなことはコメントせず、圧倒的多数で採択されたで終わりなのだ。
テロ対策で新法まで通して対米協力し、そのアメリカからの圧力で、核実験をしてCTBTに署名をしていないインド、パキスタンへの経済制裁を解除し(外務省は、経済措置を停止した、とこれを呼び変える)、その結果が、これまでずっと棄権していたアメリカの反対である。日本の対米外交は、笑いものじゃないか。
このいい加減な態度が各国の反発を招き、賛成国は減り、経済援助再開を決めたインドは反対投票をする。で、こうしたことに一言の反省の弁も無いのが外務省の資料である。
しかも、今年の決議案の内容は、アメリカ向けに水で薄めたものになってはいないかい?
という事態が生じているのに、今日の外務委員会、野党がえんえんと、松尾、指輪、内奏....。外交政策に関する質問が野党からほとんど出てこないのはどういう訳か。
まあ、毎回まるで芸能レポーターのような質問しかしない議員には、最初からあまり期待はしないが、民主党の若手の細野代議士まで、指輪、内奏...。挙げ句の果てにイランの外相とイラクの外相を取り違える有様。さらに副大臣から政務官までに、田中大臣が内奏の内容を話すのを聞いたかと質問するのをきいて、みんな笑いを通り越してあきれる(外務省には政務官が三人いるのも知らないみたいだし)。大臣が国連に行けないのも日本の外交にとって痛手だが、大臣の午後がこれでつぶれるのも痛い。
外相が国連総会に出られなかったのは、今をさかのぼる十三年前。昭和天皇のご容体が悪化したときに、外相が欠席をしたはず。
基本的に国連総会、G8には、外相は行くのである。国会改革の一環で、大臣が海外出張の時に、大臣に代わって答弁ができる副大臣を新設した。今回も、本来ならば、外相が渡米し、副大臣が補正予算の答弁に立つべきなのだ。
それをじゃましているのが野党である。要するに、野党は外相の訪米に反対していないなどと言いながら、外相がいない間、副大臣が予算委員会の答弁をやるのではだめだ、だから、外相が帰ってきてから予算委員会を開くというのである。なんで、副大臣ではいけないのか。単に嫌がらせではないか。
予算委員会を後にずれ込ませれば、予算関連法案とその他法案の審議が遅れる。会期は十二月七日までだが、法案審議が終わらない可能性もある。それをわかっていて、野党の国対はやっている。いい加減にして欲しいよ、本当に。
海外の若手政治家からのメールや電話の問い合わせが結構あるが、みんな目が点になっているだろう。日本の外交意識はそんなものなのだ。