日本外交の礎

2024.10.13

選挙前ですが、軽い話題をひとつ。

外務省の経済局長や内閣広報官を歴任した四方敬之さんが、マレーシア大使として赴任します。

実はこの四方大使、日本の外交の礎を築いた人なんです。

昔々、その昔、地球上にはヨルダンやイギリス、ノルウェー、ベトナムといった国はありませんでした。

ロサンゼルスやニューヨークといった街もありませんでした。

いつの話かというと、今世紀、つまり21世紀の初頭のことです。

何を言っているのかとお思いかもしれませんが、今世紀の初頭、我が国の外務省はそう言っていたのです。

2003年まで、外務省は世の中とまったくかけ離れた地名表記をしていました。

例えばツバルという国があります。マスコミもツバルと書くし、地図にもツバルと書いてあるし、ツバルの名誉総領事館もツバルと書きます。

ところがツバルなんて国はない、この国の名前はトゥヴァルだと外務省は言い張っていました。

ニュージーランドという国があります。マスコミもニュージーランドと書くし、地図にもニュージーランドと書いてあるし、ニュージーランド大使館もニュージーランドと書きます。

ところがその国の名前はニュージーランドではない、ニュー・ジーランドだと外務省は言い張っていました。

ヨルダンという国があります。マスコミもヨルダンと書くし、地図にもヨルダンと書いてありますし、ヨルダン大使館は正式な国名は、ヨルダン・ハシミテ王国だと言います。

ところがヨルダンなんて国はない、この国の名前はジョルダンだと外務省は言い張っていました。

イギリスは連合王国、ノルウェーはノールウェー、ベトナムはヴィエトナム、ロサンゼルスはロス・アンジェルス、ニューヨークはニュー・ヨークなどなど…

外務省は国名、都市名などを一般に使われているものにするべきだと何度も訴えても外務省は頑として受け付けず、外務省式を押し通し続けました。

そして2002年に、私は総務大臣政務官を拝命しました。

当時、総務省は機構定員管理をしていましたので、総務大臣政務官の私のところに、外務省の在外公館設置法の改正案の稟議が回ってきました。

私はこの稟議を否決しました。

理由「地図でジョルダンという国を探したが、あらゆる地図でジョルダンという国を見つけることができなかった。その他にも存在しない国、都市が散見された。存在しない国や都市に在外公館は不要であるため、この改正案は不要である。」

当時の杉浦正健外務副大臣がすっ飛んで来られて、「国名や都市名を全て改めるから、稟議を通してくれ。」

その約束通り、外務省で地名の改訂作業が始まりました。

その作業を担当し、新聞や雑誌をはじめあらゆるメディアの地名表記を確認して、改訂案を作成したのが、当時の若き四方大使でした。

四方さんの地名表記案に則って外務省は2003年に在外公館設置法を改正し、ヴィエトナムがベトナムに、トゥヴァルがツバルに、ニュー・ジーランドがニュージーランドに、アルゼンティンがアルゼンチンに、サイプラスがキプロスに、ノールウェーがノルウェーに、連合王国が英国に、ジョルダンがヨルダンに、象牙海岸がコートジボワールに、ヘーグがハーグに、プラーグがプラハに、ワルソーがワルシャワに、タナナリヴがアンタナナリボに、ダレサラムがダルエスサラームに、ロス・アンジェルスがロサンゼルスに、ニュー・ヨークがニューヨークに、イスタンブルがイスタンブールになりました。

今、外務省が外交に使っている地名表記は、この四方表記です。

だから私は四方大使が日本の外交の礎を築いたんだよと言っています。

四方大使のマレイシアじゃなかったマレーシアでの活躍をお祈りします。



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