自衛官の災害派遣手当など

2019.11.12

災害派遣に出動する自衛官の待遇について、よくご意見をいただきます。
 
不正確な情報に基づいてのご意見も散見されますので、現状を紹介したいと思います。
 
自衛官の俸給は、警察官・皇宮護衛官・刑務官に適用される公安職の俸給表にあらかじめ超過勤務手当相当分を加えた額を俸給水準として設定しています。
 
そこから医療費相当として約1%、さらに駐屯地などに居住する曹士自衛官に関しては、平日の昼食などの自己負担分として約6000円が減額調整されます。
 
この俸給に、一般職と同様に支給される扶養手当などが加わり、さらに職務に応じた手当として、乗組手当・航空手当・特殊作戦隊員手当などの配置手当が支給されます。
 
また、これに加えて個別に著しく危険、不快、困難な特殊業務に従事した際には、日数や時間に応じて各種の特殊勤務手当が支給されます。
 
配置手当では、乗組手当を例にすると、自衛官の乗組手当は俸給月額の33%で、67,452円から160,611円が毎月支給されます。
 
これを一般職と比べると、例えば海上保安庁の大型船の乗組員には俸給の調整額として36,500円から65,500円が毎月支給されます。
 
特殊勤務手当としての災害派遣等手当は、自衛隊の場合、日額で1,620円、作業が著しく困難な場合は日額3,240円となります。
 
さらに危険な作業の場合には、上乗せがあり、例えば福島原発事故の際は、敷地内での作業に日額42,000円が支給されました。
 
ちなみに一般職国家公務員の場合、災害派遣に対する手当は日額1,080円、作業が著しく危険な場合は日額2,160円ですから、自衛隊の災害派遣等手当は他と比べて遜色ありません。
 
尚、イラクに派遣された自衛隊員の場合、例えば30日間で720,000円の手当(イラク人道復興支援等手当として日額24,000円)が俸給などに加えて支給されました。
 
南スーダンの場合は、例えば30日間で480,000円の手当(国際平和協力手当として日額16,000円)が俸給などに加えて支給されました。
 
また、一等海尉の潜水艦乗組員が30日間、日本近海(第一区)を潜航した場合、俸給等に加えて、乗組手当が141,141円(一尉21号俸俸給月額x45.5%)、航海手当27,300円(910円/日x30日)、異常圧力内作業等手当15,040円(940円/日x16日 潜航15日目から支給開始)の合計183,481円の手当が支給されます。
 
ちなみに米軍の場合、俸給と手当の考え方が日本と違い、30日間のイラク又は南スーダンへの派遣の場合、苦難任務手当として月額100ドルと家族別離手当として月額250ドルが手当分として支給されます。
 
米海軍の大尉が潜水艦勤務をすると月額705ドルの潜水艦任務奨励手当が支給されます。
 
イギリス軍の場合は、イラク又は南スーダンに30日間派遣されると長期別離勤務手当7.45ポンド/日x30日、約33,078円が支給されます。
 
英国海軍の大尉の潜水艦勤務の場合は初任給等調整手当(潜水艦)20.90ポンド/日x30日と不快地居住手当3.69ポンド/日x30日の合計で約109,180円が俸給などに加えて支給されます。
 
このように給与は、自衛官としての職務を評価した俸給、職域に応じた配置手当、個別の任務に対する特殊勤務手当、そのほか扶養手当や地域手当など、様々な手当の組み合わせで構成されています。
 
特定の手当のみに着目するのではなく、給与全体をとらえた上で適切な給与水準かどうか判断することが大切です。



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