宮内庁の鴨猟2014

2014.01.09

思召により、宮内庁の千葉県新浜鴨場にお招きをいただきました。
新浜鴨場は、しんはまと読みます。元々浜離宮にあった鴨場をこちらに移したので、新(しん)・浜鴨場です。
今回は、新人議員の参加も多く、大人数になりました。初参加という衆議院議員の中には、「ごまめの歯ぎしり」の鴨猟の記事を見て参加を決めたという人も少なからずいらっしゃいました。
宮中行事は参加人数が増えるとくじ引きになるので、そろそろ鴨猟のことを書くのはやめたほうがよいかもしれません。
この冬の猟期に、宮内庁は、内閣、衆議院議員、参議院議員、最高裁判所、それに在京の各国外交団を五回に分け都合九回ほどの鴨猟を催します。
鴨場に朝十時集合です。
鴨場につきますと、まず、サイズの合う長靴を選び、薄いレインコートのようなコートと帽子と軍手をお借りします。
しばし、お茶を飲んで、輪投げなどをしながら全員集合するのをお庭で待ちます。何で輪投げなのかはわかりません。部屋の中には炭火がたかれています。
全員そろうと、部屋に入り、鴨の捕り方というビデオを見て(かつては旧式の8mmビデオのようなものでしたが、最近はDVDにアップグレードされました)、鴨の捕り方を勉強します。
さで網という絹糸に柿の渋を塗った虫取り網の大型判のようなものを一人一本もって、式部官の引率のもと、十人一斑で出動です。
江戸時代までは鴨の捕獲は鷹を放って行っていましたが、明治になってから、鴨を傷つけない叉手網(さであみ)をつかう鴨猟が考案され、今日に至っています。
この猟は、鷹匠が、夏の間にあひるをよく訓練するところからはじまります。ちなみにこの鷹匠と長良川の鵜匠は国家公務員です。鵜匠は、代々親から子へ引き継がれますが、鷹匠は興味のある人を時々採用するそうです。
鴨場の真ん中には「元溜」と呼ばれる大きな池があり、シベリアからわたってきた鴨がたむろしているはずですが、今日はほとんどいませんでした。
鴨場の池から、「引堀」という細い堀が15本掘られています。この堀は、幅一メートル弱、長さ十メートルぐらいです。
堀ごとに番木があって、それをカンカンと鳴らすとならされたアヒルが池から掘に泳いできます。鴨は、このおとりのアヒルにくっついて、堀に入ってきます。そこで、鷹匠がさっと餌をまき、堀の奥に誘導します。
今日は鴨が少なく、一度にせいぜい五羽、二羽しか鴨がいないというときもありました。
鴨が十分堀に入ると、堀の入り口を閉め、待機していた捕獲者が網を持って土手に上ります。
この堀は、幅が狭く、堀の土手は垂直につくられていて、二メートルぐらいの高さがあります。堀に入ってきた鴨は、人が来ると驚いて、飛び上がろうとしますが、堀の幅が狭く、土手が垂直にできているため、羽根をばたばたさせながら、ヘリコプターのように垂直に飛び上がろうとします。そこをさで網を振って、飛んでいるチョウチョウを捕まえるような感覚で、鴨を捕っていくわけです。
私は、今回は合計二羽つかまえました。
一羽捕まえると、網を後ろに待機している人にさっと渡し、次の網をもらい、堀に残っている鴨をねらいます。おとりのアヒルは飛べないので水面に残ります。
捕まえた鴨は、羽根を交差して、頭をそこにつっこむ(これが羽交い締め)と、全く動かなくなります。
これを最後にリヤカーで集め、計測して足輪をつけ、放鳥します。
その後、鴨場で繁殖している合鴨をごちそうになります。
かつては、取った鴨を食べていたそうですが、動物愛護のため、三十年ぐらい前から食べるための合鴨を養殖するようになったそうです。
けんちん汁、ほうれん草のお浸し、ウナギと銀杏入りの茶碗蒸し、香の物、白身魚のフライ(かつては小魚の酢漬け)、それに合鴨とネギを炭火で焼いて、大根おろしをつけて食べます。お代わりはいくらでもというかんじです。
合鴨の肉とけんちん汁をお代わりしました。
飲み物はビール、日本酒、お水です。みかんが食後のデザートに出ます。菊のご紋の入った三笠山とお饅頭と菊のご紋の葉巻をいただいて、一時前に解散です。
菊の御紋の入った恩賜の煙草はなくなりました。宮中行事で出されるのは、菊の絵の入った煙草です。
外交団も楽しみにされているようです。外交団の時は、皇族の方々もご接待に出られるようです。
参加した国会議員の最先任のものが皇居にお礼の記帳にお伺いします。



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