おーい、ナベツネくん!
このいいかげんな大飯原発の再稼働のしかたを見ていると、野田内閣は、これまでの原子力ムラが跋扈していた状況をどう見ているのかと首をひねりたくなるが、やっぱり、野田内閣はおかしいと思わざるを得ないことが起きた。
まず、7月13日付で、内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室なる組織が、「原子力規制委員会の情報公開の考え方について」なる怪文書を出した。
ご丁寧に細野大臣が閣議後の記者会見で、この文書の説明をするというおまけつきだ。
「独立した」委員会とはどういうものか、野田総理も細野大臣も、まったくわかっていらっしゃらないとみえる。
この怪文書、「特に、透明性確保のための情報公開のあり方について、立法過程における国会での御議論等を踏まえて、原子力規制委員会において期待される情報公開の基本的な考え方を以下のとおり整理したので、これを公表します」!
政府から独立した規制委員会が、自らつくるべきものを、政府が自らつくってこれでやれと「独立した」委員会にやらせようというのか。
どういう法律的な根拠でこれを作成し、公開したのかと問われた内閣官房の役人は、全く答えられず。
こんなことをやっている暇があるならば、原子力委員会の秘密会議や福島の事故後の政府内の会議の情報をきちっと公開すべきだ。
さらに悪質なのがマスコミを使った情報操作だ。
かつての野党、民主党は、参議院の西岡議運委員長を中心に、国会同意人事が事前にマスコミで報道された場合は、当該者の提示は受け付けないというルールをつくった。
平成19年10月31日に、事前に報道された人事は受け付けないという、衆議院の笹川議運委員長と西岡委員長の申し合わせが行われている。
で、今回、7月20日に原子力規制委員長及び委員人事が漏れた。
実は、今回は、利益相反を防ぐため、過去に業界その他から金品等をもらっていないかを調べる過程で、情報が滲み出かねないということから、人事が事前に漏れ出ることがあっても、常識的な範囲ならばやむを得ないということはあった。
しかし、7月20日の読売新聞には、委員長と4人の委員の名前がはっきりと報道され、しかも、4人の委員の任期までが書かれていた。(4人の委員は2年任期と3年任期に分かれる)
読売新聞以外にも、日経が20日の朝刊で委員長人事案を、朝日、東京、毎日の各紙が夕刊で委員長及び委員の案を報道している。
事前調査の段階で、委員の任期が滲み出るはずがないから、明らかにこの読売新聞の報道は、政府の人事資料を見て書かれたものだといわざるを得ない。
つまり、政府はこの同意人事の内容をリークしたのだ。原子力ムラの一員を委員長にすべく、既成事実をつくろうという意図がみえみえだ。
読売新聞がやり過ぎてリークがばれ、政府からの人事案の提示が見送られると、読売新聞は、その日の夕刊で、「手続き上なんら問題はない」「政党側の過剰な批判は、報道規制につながりかねない」「そのような有害なルールは速やかに廃止すべきだ」などと必死に抗弁する。
さらに翌21日の社説で、「国会の同意が遅れれば、政府は人事を発令できず、9月上旬に予定されている規制委の発足がずれ込む恐れもある。」などとと書いているが、国会の同意の遅れが問題なのではなく、政府の人選と提示が問題なのだ。
原子力ムラの人間であっても同意しないと規制委員会の発足が遅れるぞという脅しは、世の中にはもはや通用しない。
あれだけでたらめな原子力行政を、正すどころか同じようなデタラメを続けようとしている野田内閣には、再稼働や東電問題に携わる資格はない。