ODAをもっとしっかりモニタリングしよう
ミャンマーの国際社会への復帰に資するという名目で、政府はミャンマーに対する債権のうち、2003年4月以降に返済期日がきた1274億円を免除する。
2003年3月以前に期限が来た1989億円については、日本のメガバンクが同額をオーバーナイトローンとして貸出、間髪入れずに政府が長期円借款をミャンマー政府向けに出し、この貸出を返済する。この長期円借款は0.01%の金利で10年据え置きでその次の30年で返済する。
そして過去20年間にわたる遅延損害金1761億円については、ミャンマー政府の改革努力の継続を一年間モニターし、成果が上がっていれば免除すると発表した。
問題は、この遅延損害金のモニタリングについて、どんな指標をモニタリングするのか、それが今、どんな状況にあり、その後、どういう状況になったら成果があがったと認定するのか、まるで発表されない。
民主化、少数民族との融和、経済改革などをモニタリングすると外務省はいうのだが、民主化や少数民族との融和などは、成果があがっていると認定するためには、1年以上のモニタリングが必要だろう。
外務省には、ODAは国民から預かったお金だという認識がまるでない。
本来、国民が持っている債権を放棄するのだから、日本国民に対して、ミャンマー政府にこれだけのことをやらせるということをコミットすべきだ。それが面倒くさいものだから、いい加減なモニタリングでごまかして、債権放棄してしまう。
ちなみに最近、放棄されたODA債権は
2003年度 1088億円
2004年度 1699億円
2005年度 9683億円
2006年度 1523億円
2007年度 218億円
2008年度 2860億円
2009年度 76億円
2010年度 164億円
2011年度 996億円
なかにはイラク向けの7358億円なども含まれるが、リチウムの産地でもあるボリビア向けの債権534億円が放棄されていたり、ガーナ向け1047億円、ナイジェリア向け2439億円、ザンビア740億円、タンザニア637億円、コンゴ899億円、バングラデシュ144億円など、円借款そのものを見直す必要がある。
先日の、外務省の行政事業レビューでは、例えば、ソマリアやエチオピアにおけるWFPの汚職が国連やアメリカ国務省のレポートで指摘されているが、外務省はどう対応しているのかという質問に対して、WFPに対して申し入れをしています、意見交換していますという具体性の全くない回答に終始する。
諸外国のNGOが、WFPはきちんと書類を公開せず、確認ができないという問題を指摘しているのに、外務省は全く注意を払っていない。
ウガンダへの地方治水計画という無償プロジェクトで、掘った井戸の23%は機能していないのはなぜかという質問に対して、ゼロ回答。
しかも世帯あたり400シリングの料金負担という計画だったのに現実は500から2000シリングの負担になり、それに対する住民の反応は記載されず、それなのに成功したプロジェクトに分類されているのはなぜかという質問に対して、ほとんど満足な回答もできず。
他の国の治水プロジェクトとの比較もできない。
真剣に、我が国のODAを半分以下に減額し、その内容も大幅に変更する必要がある。
今のままでODAを継続することは限られた財政の無駄遣いだ。