まず基礎年金から
今回の年金再検証は、厚労省の年金官僚の知恵を絞った結果になった。
百年安心年金をつくった自公政権の顔を立てながら、年金制度はもう持続できないから抜本改革をしなければならないということをわかってくれ、というメッセージだ。
だからこれを見て、年金制度は破綻しつつあるので抜本的に改革をしますということを、政治がきちんと言わなければならない。
官僚にはここまでは言えない。これは政治の仕事だ。
そしていくつかのオプション計算は、小手先の改革ではもうだめだということを表している。
とくにこの再検証で気が付くのは、国民年金、基礎年金の将来の姿のひどさだ。
マクロ経済スライドによる調整が厚生年金よりも基礎年金では、はるかに長く続く。
ケースAでは、所得代替率が現在夫婦二人の基礎年金額で36.8%、夫の厚生年金の報酬比例分が25.9%であるのに、2050年度では、厚生年金の報酬比例は所得代替率25.3%までしか下がらないのに、基礎年金の代替率は25.6%まで下がる。
ケースF、Gでは夫婦二人の基礎年金のほうが夫の厚生年金の報酬比例部分より所得代替率が低くなってしまう。
さらにこの外に、未納者、免除者、猶予者がいるのだ。
もはや基礎年金制度は破綻しているとっても過言ではない。
官僚の良心の叫びをきちんと政治が受け止め、国民に伝えなければならない。
この財政再検証は、そういうことだ。