厚生年金の虚像
2009年に厚労省がやった年金の財政検証の前提条件は、積立金の運用利回り4.1%、国民年金保険料納付率80%、賃金上昇率2.5%など、都合のよい前提条件ばかりを並べている。
そこで、2009年の財政検証の前提条件のうち、積立金運用利回りを2011年までは現実の数字、2023年までは内閣府が2012年8月に出した「経済財政の中長期試算」に置き換えて、それ以降は2009年の厚労省の前提条件にあわせて、厚生年金の積立金残高試算をすると:
西暦年度 2009 今回試算
2009 144兆円153兆円
2010 143 148
2011 142 146
2012 141 146
2013 141 145
2014 142 145
2015 144 146
2020 173 166
2025 220 166
2030 284 269
2040 417 394
2050 508 473
2060 563 511
2070 561 484
2080 503 387
2090 406 233
2100 247 -12
つまり数ある変数のうち、まず利回りひとつだけを現実及び内閣府の数字に合わせると、すでに100年安心年金は崩壊している。この他の数字も現実及び内閣府にあわせると、更にこの数字は悪化する。
この数字を見た厚労省年金局に、100年安心年金は成り立っていないね、と尋ねると力なくうなずくばかりだ。
一体改革というならば、年金制度そのものの抜本改革が必要だ。