なんで事前に賛否がわかるのか

衆議院の委員会が開催される前には必ず、その委員会の理事会が開催される。

理事会では質疑時間と質問者の確認、出席大臣及び政府参考人(官僚のこと)の確認が行われる。

そして、その後、委員長からフツーに、「それでは各党の賛否の確認を」という言葉が出る。

それに対して各党から、フツーにわが党はこれこれに賛成、これこれに反対という回答が続く。

ちなみに、全部で10項目につき、採決が必要になるが、予備費が9項目、国庫債務負担行為が1項目。

予備費のうち7項目に関しては、全会一致で承認、1項目(平成24年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書)に関しては、維新・結い・社民の三党が反対、もう1項目(平成24年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書)については社民党が反対。

平成24年度一般会計国庫債務負担行為総調書は社民党が反対。

そこで委員長は「では採決は全部で4回。まず全党賛成の7項目に関して一括して採決し、その後、予備費で3党反対の項目、社民党のみ反対の項目、そして国庫債務負担行為についてそれぞれ採決します。」

さて、あなたはどう感じるだろうか。

これから予備費と国庫債務負担行為の審議をする委員会が開かれるのに、すでに各党が賛否の態度を決めている!?

しかも、委員一人一人の賛否ではなく、「各党」の賛否の態度が回答されている。(記録に残るのも各党の賛否だけだ)

では、これから開かれる委員会は何なのだろうか。

しかも、この10項目の質疑に立つのは6人、時間にして2時間30分。質問する6人以外の委員は座っているだけ。

予備費などの「本当の」審査はどこで誰がやっているのか。

これは決算行政監視委員会だけの話ではない。すべての委員会、そして本会議も同じだ。

だから本会議では、異議なし採決、つまり議長の「ご異議ございませんか」に対して議場から「異議なし」という声が上がって可決されるという採決が行われる。

異議なし採決のためには、採決の「前に」、異議がないことが確認されていなければならない。

日本の国会では、首班指名、本予算、内閣不信任案以外のほとんどの採決は異議なし採決か起立採決で行われる。起立採決は、事前に「各党」の賛否が記録されている。

いったい、国会の委員会、本会議の審議は何なんだろうか。

国会に提出される法案のうち、自分が所属する委員会に付託される法案のうちいくつかについては、運が良ければ委員会で質疑ができる。

それ以外の法案に関しては、一人一人の議員が意見を述べたり、議論したりする機会はない。

与党議員の場合、議員の数が多いことと審議を早く終わらせるために、質問の時間や機会は非常に少ない。

国会対策委員会の幹部がよく自らを天婦羅屋と呼ぶが、それは国対は、(内容にかかわらず)法案をあげる(揚げる)のが仕事だからだ。

こんな形骸化、儀礼化した議会、世界を見渡しても他にない(北朝鮮などの独裁国家を別にすれば)。

国会改革というと議員定数や議員歳費の話がよくマスコミに取り上げられるが、国会の審議のあり方が取り上げられることはほとんどない。

一般には分かりにくい話だが、国会が審議をしていなかったら、定数や歳費どころの話ではない。

今のやり方は、執行部にとっては非常に都合がよくできている。だから変えようという声は内からだけでは大きくならない。

国会のありかたはこれでよいのか、ぜひ、外からも声をあげてほしい。



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