東京電力の値上げに問題あり

政府が認めた東京電力の値上げのなかには、本来、消費者に値上げとして転嫁されるべきでないコストまで含まれている。
こうしたコストは、総括原価に組み入れられるべきではなく、東京電力が自己負担するべきものだ。そして、その負担ができないならば、東京電力の企業体を破綻処理して、新しい枠組みで再出発するべきだ。
例えば、あなたの電気代が、福島第一原発5、6号機と福島第二原発1-4号機を維持することにも流用されていることをご存じだろうか。
経産省が2012年7月に出した「東京電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針」を読むとすごいことが書いてある。(後ろに日本語への翻訳をつけてある)
「福島第一原発5、6号機および福島第二原発1-4号機については、主要設備について、現時点で大きな損傷は見つかっておらず、設備としては健全であると言える。また、東京電力において、津波対策や耐震強化に係る改良工事を実施中であり、事業者として廃炉を行うとの判断を行っていない。
...原子力発電所については、安全・安心を確保しつつ、地元の理解を得て再稼働させることが可能か否か、が将来の再稼働の見通しに大きな影響を与えることとなる。
福島県内の当該原子力発電所に関し、福島第一原発5、6号機および福島第二原発の再稼働は地元自治体との関係で想定しえないとの強い意見もあったが、安全・安心を確保しつつ、地元の理解を得て再稼働させることが可能か否か、については当委員会として電気料金の専門的見地からは判断できるものではなく、これら原子力発電所の再稼働の見通しについて確定的な見解を示すことは困難であり、こうした事情により再稼働が見込めないことが正当な理由に該当するかどうかを判断することも困難である。
東京電力はこれら原子力発電所について、今後十年間の稼働は『未定』としているが、福島第一原発5、6号機については、原子力災害対策特別法に基づく緊急事態応急対策を、福島第二原発については、同法に基づく原子力災害事後対策を実施中であり、こうした観点からは、現時点で稼働を行わない一定の正当な理由があると考えられる。
以上から、福島第一原発5、6号機および福島第二原発については、原価算定期間内における再稼働は見込まれていないが、原価算定期間終了後、将来にわたって再稼働しないと確定的に判断することはできず、また、再稼働が見込めないことに一定の正当な理由があると考えられる以上、レートベース、減価償却費を全額料金原価に算入することは妥当であると考えられる。」
つまり、「福島第一原発5、6号機と福島第二原発は、壊れてないもんね、でもって東電は廃炉にするって言ってないよ。
だから、地元がウンといって再稼働できるかどうかが問題だけど、地元がぜったいにウンとは言わないなんてボクたちには言い切れないもんね。
でもって、東電はこの二つの原発が今後10年のうちに動くかどうかはわからないと言っているし、この二つの原発は原発事故の対策中だから、動かせなくても仕方ないじゃない。
だからぁ、この原発は当分動かなそうだけど、このまま二度と動かないなんて言えないし、今、動かないのも原発事故の処理中というちゃぁんとした理由があるから、その分も君たちの電気代値上げの中に入れるよ」ということなのだ。
福島第一原発の5、6号機は壊れてないし、将来、地元の同意を得て再稼働することが絶対に無いとは言い切れない等という理屈で、あなたの電気代の値上げが決められたのだ。
この費用は東京電力が負担するべきで、消費者に転嫁すべきものではない。
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