Kono Taro Official Website 印刷する

ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第22号 『腹を切ればよいのか』

さらに言えば

 一番大切なことは本人の意思です。現行法でも改正案でも「本人の意志に反して臓器の提供が行われることはありません」。そして「家族の同意無しに臓器の提供が行われることはありません」。(結果的に現行法でも改正案でも本人に提供の意思があるのに家族が反対すれば臓器提供は行われませんから、本人の意思があるのに臓器提供が行われないことはあります)。 改正案が現行法と違うのは、「本人の意思表示がない場合、臓器提供するかどうかは家族の判断で決められる」ということです。つまり、圧倒的に多い「本人の意思表示がない場合」の脳死から臓器提供ができる道を開こうというのが改正案の狙いです。

 自然の中では人間は「脳死」にはなりません。近代になり、人工呼吸器が発明されたことにより「脳死」ということが起きるようになりました。

 脳死は心臓死と同じく人間の死です。脳死とは、事故による頭部への障害や脳の血流障害などが原因で、大脳、小脳、脳幹という脳の全てがその機能を失うことです。心臓死とまったく同じように、意識はなく、呼吸は止まり、五感をはじめ全ての感覚は失われ、脳が司る全ての機能が無くなります。一度脳死になると、「生き返る」ことはありません。脳死になると脳に血流が行かなくなり、脳は自己融解を始め、どろどろに溶けていきます。

第22号 目次へ 次へ 脳死とは何か
ウィンドウを閉じる