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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第22号 『腹を切ればよいのか』

改正案

 私は、現行の臓器移植法を改正したいと思っています。

 現行法では、「脳死になった時には臓器提供をしても良い」という意思表示を生前にドナーカードでしていた人が脳死になった時に、家族が同意すれば臓器提供をすることができます。つまり、本人がドナーカードで提供する意思表示をしていて、さらに家族が臓器提供をしても良いと同意した時だけ、臓器提供が行われます。本人の生前の意思表示がなければ、たとえ家族が臓器提供を申し出ても脳死下での臓器提供はできません。また、本人がドナーカードで意思表示をしていても、家族が臓器提供を断った時には臓器提供は行われません。

 改正案は、「仮に脳死になったとしても私は臓器提供をしません」という意思表示をしている人以外が脳死になった時には、家族が同意すれば臓器提供を行えるようにしようというものです。

 つまり、現状では六年間で約1万人の脳死者の内、わずか694人だけが提供をする、しないの意思表示をしていました。現行法では、それ以外の9300人はこの時点で臓器提供の対象になりません。

 ほとんどの人にとって臓器移植は他人事ですから意思表示をすることなど考えることもありませんし、その必要もありません。現行法のままでは大部分の脳死者からは臓器提供が行えないということになります。このままでは心臓移植や生体移植に関する問題は解決しません。

 「脳死になっても臓器提供をしないという人は臓器提供の対象にしない」というルールにすれば、とりあえず全ての人に脳死下での意思表示について

 考えてもらうことになります。私はいやだという人はNOと言えば提供者からはずれます。俺はよくわからないというならば、とりあえずNOと意思表示して頂ければ提供者にはなりません。提供しても良い、どっちでも良い(あるいは意思表示がない)という方が脳死になれば、家族の同意で臓器提供が行われる可能性があります。もちろん本人がYESという意思表示をしていても家族が臓器提供に同意しなければ最終的に臓器提供は行われません。

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