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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第5号 『族議員をふっとばせ!〜1997.12〜』

行政改革

私は、行政改革をやるならば、まず、国の仕事と地方の仕事を明確に線引きをして、地方の仕事とされたものについては、権限を地方自治体にすべて委譲する、さらに、国の仕事を遂行するに必要な税収以外は、地方税として地方自治体に委譲する、ということをまずやるべきだと思います。(もっと言えば、県と市町村の間の権限、財源の線引きも明確にすべきです。ついでに、今、神奈川県議会で議論されている県議会の定数削減に関連して一言。横浜市と川崎市は、政令指定都市であり、市が県に近い権限をもっています。神奈川の全市町村の人口割で県議会の定数を決めるのではなく、この両市から選ばれる県会議員の定数を大胆に削減するようなやり方を考えてもよいのではないでしょうか。もう一言さらに言えば、県庁県議会は、県からなかば独立した横浜市におく必要はありません。県庁、県議会は政令指定都市以外に移転すべきです。閑話休題)
         省庁再編
しかし、今回の「ギョーカク」は、中央省庁の再編問題から着手されました。私は、中央省庁の再編に関しては、三点に的を絞りました。第一は、大蔵省の分割をやるべしということ。金融、財政の分割に加え、大蔵省管轄の政府開発援助(ODA)を大蔵省から切り離すべきという主張です。自民党の執行部は大蔵省分割反対のようですが、金融政策の失敗の責任を誰も取らないのに財政を出動させる今の体制はおかしいと思います。第二は、現在、外務、大蔵、通産、経企の四省庁をはじめ、十を超える役所がそれぞれ持っている政府開発援助に関する予算を一つ
にまとめ統括する援助庁をつくろうということ。第三は、環境庁を環境省に格上げすること(前記)。
大蔵省分割は、私の所属委員会とは関係ありませんが、これこそが、今回の行革で最大のテーマであると認識していました。(ある宴会の席で、先輩代議士曰く、「大蔵省を分割すべきだって発言したら、数日後に税務署から税金のことでお伺いしたいって、電話がかかってきたんだよ。なんか、関係あるのかい、これ!?」)。
          援助の無駄
援助庁については、ずっと外務委員会で政府開発援助の無駄を追いかけてきた集大成です。外務省管轄の国連関係機関、例えば緒方貞子女史の国連難民高等弁務官事務所や国連開発計画、ユニセフといった機関への拠出は、財政構造改革のあおりを受けて百数十億円の予算カットに直面しているにもかかわらず、他方大蔵省は、自分の管轄下にあるアジア開発銀行の日本基金に百億円近く拠出しようとしていました。このアジア開発銀行の日本基金には、なんと数百億円が、拠出されたけれど使われないで預金されているのです。一方で予算が無いといいながら、他方、余って貯金しているところにまたお金を出す。このODAの縦割り行政の無駄を無くすためには、各省庁の利権になってしまっているODA予算を一度取り上げ て、総括的に管理する援助庁が必要なのです。
さらに現在のシステムでは、各省庁が、それぞれ別々にODA予算を管理しているため、驚くことに、ある発展途上国に総額いくら日本のODAがいっているのか、現状ではわからないのです。現在、河野太郎事務所でフォーマットをきめて、各省庁にODA予算に関連した細かなデータを提出してもらっています。(最初、外務省にこの取りまとめを依頼しましたが、他の省庁、特に大蔵省は、外務省にはこのデータを提出しないのです)。まず、情報を一本化し、次に情報公開、そして、最終的には省庁横断的な外交戦略と優先順位に基づいたODA予算の立案ができるところまでやっていきたいと考えています。一緒にこの問題に取り組んで下さる方いらっしゃいませんか。
          まちがった熱意
行革ですごかったのは、郵政省でした。郵政省は、自民党の代議士全員に毎回連絡して、「何月何日何時から自民党の通信部会が開催されるので、ぜひご出席して、郵政省の分割に反対、三事業の民営化反対してください
」。私の事務所は、まだ、通信部会の日程も知らず、「えっ、そんな会議ありません」などとトンチンカンな受け答えをしてしまいました。さらに、山口俊一自民党通信部会長の指揮の下、二回生の荒井広幸代議士が、「自民党通信部会特別行動隊」なるものを組織し、純真無垢だった(えっ?)一回生を次々と組織して、郵政省の手先をつくりあげていました(子供のころテレビでみた仮面ライダーのショッカーを思い出します)。ばったり党本部でお目にかかった郵政事務次官に「私は、テレコム三局分離賛成ですから悪しからず」と申し上げましたが、それでも連日、郵政省は「ご説明に」と食い下がってきました。熱意の向け先が違うのではないかとも思いますが。建設省や農水省は、それぞれ地方自治体に、「今の組織が変わると予算の取り扱いに問題が出るから困る」と言わせたり、地方からそのためだけに陳情に上京させられたりしている自治体の方も大勢いたようです。
一回生も「何々省の組織は変えてもらっては困る」等と書いた趣意書に署名を集めたりするのに活躍したり、また、そういうことをぜひやってくれと役所や先輩の族議員に頼まれるのをうれしく思う議員もいたりして、さながら新入生がクラブ活動に誘われるがごとく、役所から族議員に誘われていました。私は、「国会議員が役所の下請けみたいなことやって恥ずかしくないのか」などと怒っておりましたが、「おまえ署名ぐらいしてやれよ。付き合い悪いぞ」と逆に怒られる始末でした。
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