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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第31号 やっぱり年金!

「ずっと年金改革と言い続けていた君がもし総裁選挙に勝っていたら、今度の年金問題は起きていなかったかね」。自民党で幹事長も経験された先輩に、酒の席ではありましたが、真顔でこうたずねられました。「いえ、年金記録がまさかこんな状況だとは思っても見ませんでしたので、やはりこの問題は起きていたと思いますが、この後をどうするかということがとても大切なのではないでしょうか」。

 今回の年金記録の問題は、これまでも薄かった公的年金制度に対する国民の皆様の信頼を、一気に失わせてしまいました。とにかく、きちんと記録を照合し、確実に年金をお支払いできるように作業を迅速に進めていかなければなりません。

 そして無理もないことですが、この問題で、国民年金の保険料納付率がさらに下がっています。年金制度そのものの信頼性に大きな影響が生じています。

 年金記録の照合を続けながら、年金制度改革の議論も待ったなしではじめなければなりません。

 現在の年金制度には大きな問題がいくつもあります。

 現在の国民年金制度では、国民年金の保険料不足は厚生年金からの拠出金でまかなわれます。つまり保険料を天引きされるサラリーマンにとって大変不利な制度なのです。

社会保険庁を解体民営化しても、保険料の未納問題は必ずついて回ります。民営化される新機構の徴収率の目標は80%にすぎません。年金保険料が未納であれば、将来、年金受給はできません。そして、もし未納者が65歳になって収入がなければ、生活保護の対象になります。保険料を未納していた人を保険料を納めていた人の税金で助けることになります。

国民年金の第三号被保険者(サラリーマンの妻)は、保険料を納める必要がありません。よく誤解されますが、第三号被保険者の夫の年金保険料がその分、上乗せされているわけでもありません。厚生年金の加入者全員で第三号被保険者の保険料を負担しているのです。

厚生年金にしても、次の世代の負担する保険料で前の世代の年金を支払うという今の制度を、人口減少時代になっていつまで続けられるのかという大きな矛盾を抱えています。さらに自分が将来、いったい年金をいくらもらえるのかさっぱりわからないという声もよく聞かれます。

保険料を徴収するという制度では未納問題から逃れることはできません。国民すべてが対象になる基礎年金は、保険料を徴収するのではなく、税、とくに消費税でまかなうべきです。すべての国民が買い物をするときに必ず消費税を支払うことにより、年金の財源を負担することになります。年金の保険料が未納になるということはいっさい、生じません。

そして、すべての国民に年収に応じて一定の金額(たとえば9%)を、それぞれの年金口座に毎年、積み立てていただく積立方式にするべきです。積立に対してはいっさい所得税をかけず、六十五歳になったときに積み立てられた金額に運用の利息を加えた金額を六十五歳の平均余命で割った金額が年金として支給されるという制度を私は提唱します。

積み立て方式ならば、日本の人口が将来どんなに減少しようとも年金に影響が出ることはありません。さらに職業を問わず同じ年金制度になりますので、転職による影響もありません。

年金記録の問題は大変大きな問題ですが、実は制度そのものも改革が必要なんです!

 

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