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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第24号 『みゅ』

『シーズン制』

テキスト  僕がアメリカのジョージタウン大学を卒業したのは1985年でした。この1985年にジョージタウン大学を卒業した学生の平均初任給は、ジョージタウン大学の歴史の中でずば抜けて高い金額になっています。85年卒は優秀な人材がそろっていてね、と言いたいところですが、本当はこの年の卒業生の一人にNBAのニューヨーク・ニックスで大活躍したスーパースター、パトリック・ユーイングがいたからです。あの頃のジョージタウンは全米一のバスケットボールチームを持っていました。

 バスケットボールに限らずフットボールや野球で活躍した学生は、続々と何億円という契約金や年俸でそれぞれプロ入りしていきます。そして中にはアメフトと野球、あるいはバスケットボールと野球という二つのスポーツでプロ契約する選手もいるのです。

 アメリカの学生スポーツはシーズン制です。アメリカでは秋に新学年がスタートしますが、一年を秋、冬、春に分け(夏は休みです!)、それぞれの季節のスポーツが決まっています。秋は、アメフト(男子)、ホッケー(女子)、バレーボール(女子)、水球(男子)、サッカー(男女)、クロスカントリー(男女)、冬はバスケットボール(男女)、フェンシング(男女)、体操(男女)、アイスホッケー(男女)、射撃(男女)、スキー(男女)、水泳・飛び込み(男女)、室内陸上(男女)、レスリング(男子)、ボーリング(女子)、そして春は野球(男子)、陸上競技(男女)、ゴルフ(男女)、ラクロス(男女)、テニス(男女)、ソフトボール(女子)、バレーボール(男子)、水球(女子)となっています。

 そして、このシーズン分けは大学生に限らず、高校生以下にも適用されています。

 シーズン制という考え方は、実は日本でも検討する意義があると思っています。特に、少子化が進む中で、野球とサッカーという二つの人気スポーツが選手を二分している小学生、中学生の段階で、一年を例えば二つのシーズンに分け、一年間に野球とサッカーの両方を経験できるようにするというのも一つのアイデアだと思います。あるいは一年のうちに柔道や剣道、空手といった武道を一つとチームスポーツを一つそれぞれ選ぶこともできるでしょう。

 子供の頃に多様なスポーツを経験することは、その子の将来にとって非常によいことでしょうし、少子化の影響であらゆるチームで選手の数が少なくなっている今、選手を取りあうのではなく、選手により多くの経験をさせてあげられるシステムを検討するべき時に来ていると思います。

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