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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第23号 『陰謀とあなたの財布』

いくらかかるの

 再処理工場にかかる費用は莫大です。再処理工場を計画通りに稼働させるコストは13兆円です。厚生年金で作られたグリーンピアが大きな問題になりましたが、グリーンピアとそのほかの年金福祉施設にかかった費用をすべて合計しても、数千億円の単位でした。それに比べて、再処理工場にかかる費用がいかに大きいかよくわかると思います。

 しかも、この数字には大きな疑問符がついています。この十三兆円という数字は、半年前にはもう少し高かったのです。費用負担が多いと言われることを恐れた関係者が鉛筆をなめて数字を下げて作った数字だといわれています。それを裏付けるように、工場の建設費用が当初七千億円と見積もられていたのに、完成してみたら二兆円、つまり約三倍の誤差があったのです。この調子でいったら三十九兆円の国民負担になりかねません。

 しかも、この再処理工場は稼働前からトラブルが続いています。既に確立された技術であるはずのステンレスの溶接部分ですらひび割れするという事故が起きています。そして、この再処理工場ではジルコニウムとステンレスの異材継ぎ手という全く新しい技術が何万カ所にも使われていて、関係者ですら何も問題が起きないとは思っていないのです。

 この再処理工場は、本格的に稼働させる前に、ウランを使ったテスト、そしてプルトニウムを使ったテストを実施することになっています。今年中にでもテストを開始したいと関係者は公言しています。しかし、一度プルトニウムを使ったテストが行われてしまえば、この工場全体がプルトニウムで汚染されてしまいます。そうなってから核燃料サイクルを見直して、やっぱり再処理をやめようということにしても、核で汚染された工場を解体するためには兆の単位の莫大な費用がかかります。

 なぜ、十兆円を超える莫大なコストをかけて、当面必要のないプルトニウムを取り出すこの再処理工場を稼働させなくてはならないのでしょうか。なぜ、三十年前に立てた計画を変更し、再処理を中止することができないのでしょうか。
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