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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第21号 『今ここにある危機』

年金を議論しよう!

 あなたは、今の年金制度を信頼していますか。

 公的年金とは、引退後のあなたの生活を最低限、保障するものです。そのために、少子高齢化に耐えられる年金制度、つまり人々から信頼される制度でなければなりませんし、多様化する雇用形態に対応できる、つまり終身雇用を前提としない年金制度でなければなりません。

 自民党の若手グループが発表した政権公約(マニフェスト)の中で、私たちは、根本的な年金改革案を提言しました。

 まず、未納者が増え続けている月額一万三千三百円の基礎年金(国民年金)の保険料の徴収を止め、消費税を基礎年金の財源とします。つまり、国が受け取る消費税を全額、年金の財源とします。基礎年金の給付は六十五歳から始め、一定以上の所得又は資産がある人には給付しません。基礎年金の給付金額と消費税率の関係は明確で、現行の消費税率4%(残り1%は地方消費税で、国には入りません)を維持するならば基礎年金は月額三万三千円になります。現行の基礎年金の給付金額である約六万六千円を維持するならば消費税率を8%にする必要があります。

 消費税を財源とするメリットは、第一に、未納者が増えて基礎年金の空洞化を防ぐことができること、第二に、現在のように保険料を徴収すると、保険料の約一割は保険料を集めるために消えてしまいますが、消費税ならば徴収コストは極めて少額で済みます、第三に、保険料方式を維持しようとすると、将来の保険料がいくらになるか予測ができませんが、消費税方式ならば、2030年までに消費税率を12%に引き上げる必要がありますが、それ以上の税率引き上げは必要ありません。

 厚生年金も改革が必要です。

 現在の厚生年金は、賦課方式と呼ばれ、今、あなたが支払っている厚生年金の保険料は、今、厚生年金を受け取っている人に給付されています。つまり、あなたが今、払っている保険料は、将来、あなたが受け取る厚生年金の財源ではありません。あなたの厚生年金は、次の世代が払う保険料から支払われるのです。この方式では、将来、少子化が進むと、次の世代が支払うべき保険料が高くなるか、あなたが支払った厚生年金の保険料と比べてあなたが受け取る厚生年金額が少なくなるかのどちらかを避けることはできません。既に厚生年金の空洞化(つまり企業の中には厚生年金の保険料の支払いを止めてしまっているところがあります)が始まっていることを考えると、これは大きなリスクです。

 2005年を出発点に、厚生年金を賦課方式から積立方式に切り替えるというのが我々の提案です。あなたが2005年に二十歳で働き始めるとするならば、毎年年収の6・8%を年金に積み立てます。そして、六十五歳に定年で引退するまで、四十五年分の積立分に金利を加えた金額があなたの厚生年金の総額になります。

 2005年にあなたが既に二十年働いていたならば、その二十年間に相当する厚生年金の金額と2005年から引退するまでの間に自分で積み立てた金額の合計があなたの厚生年金の総額になります。この場合の二十年分の厚生年金相当額や2005年に既に厚生年金の受け取りを開始している人の厚生年金の財源は、企業の負担分でカバーされます。

 積立方式のメリットは、第一に、あなたの厚生年金の財源は自分で積み立てるのですから、将来の世代が支払ってくれるかどうかに関係なく、厚生年金が確保されます。ただし、厚生年金額は、金利や運用方法などによって変わってきます。第二に、あなたが支払う(自分のために積み立てる)金額は年収の6・8%に固定されます。保険料率が上がる心配をする必要はありません。第三に、転職しても、厚生年金に影響が出ません。現在の厚生年金と違って、サラリーマンが自営業になり、またサラリーマンに戻るなどの転職を繰り返しても、自分で積み立てたものはしっかり確保されています。つまり、新方式ならば、サラリーマンだけでなく、自営業も対象になるのです。

 この方式だと、あなたが積み立てた金額の合計をあなたが引退した年齢の平均余命で割った金額が毎年、厚生年金としてあなたに支払われます。

 基礎年金を消費税に切り替え、同時に現状の給付金額を維持するために消費税率8%を受け入れるか、あるいは保険料方式を続け、基礎年金の空洞化に直面すること(つまり保険料の際限の無い高騰)を選ぶかどうかがあなたの最初の選択です。

 自分の厚生年金の財源は職業に関係なく自分で確保するか、次の世代にあなたの厚生年金の財源を依存するか、これがあなたの二番目の選択です。

 どうしますか?

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