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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第18号 『国会議員は詐欺師か』

「内閣改造」

 小泉総理は、秋の内閣改造を示唆しています。この内閣改造をどうやるかが、小泉政権の試金石になります。

 これまでの自民党の内閣改造は、派閥の親分が、自分の派閥からはこの議員を入閣させたいと推薦し、総理は、その議員を何の大臣にするかを決めるだけでした。大臣になった議員は、誰のおかげで大臣になれたかをよく理解していますから、総理よりも派閥の親分にますます忠誠を尽くすようになります。入閣した大臣は、別に経済に対する考え方や政策で選ばれたわけではありませんから、政権としても経済運営の方向性が定まりません。そして、何よりも閣外にいる派閥の親分衆の声も無視できません。

 閣外の実力者たちは、政府の役職につていませんから、国会での質疑で答弁に立つ必要もありません。最もわかりやすい例が自民党の税制調査会です。二十世紀後半から、税調最高顧問という肩書きを持つ代議士が、自民党の税調を牛耳り、実質的に税制の決定をずっと取り仕切ってきました。しかし、党の税調最高顧問は、政府の公的な役職でも何でもありませんから、国会の質疑に呼ばれて税制に関する質問に答えるのは、時の大蔵大臣でした。こんなおかしなことが平気でまかり通ってきたのです。

 小泉内閣の最初の組閣は、総理が自分で全ての大臣を決めた、当たり前ですが、画期的なことでした。しかし、残念ながら、副大臣、政務官、そして党の部会長などの人事は、派閥の親分が引き続いて仕切ってしまいました。だから、党の投職についている代議士が、郵政改革に必死で反対するということが起きたのです。

 この秋の小泉内閣の改造を成功させるために、小泉総理は二つのことをやらなければなりません。まず、小泉内閣のビジョンと政策をもう一度はっきりと国民に示すこと。そして、そのビジョンと政策を支持する議員だけを大臣、副大臣、政務官、そして党の役職に就けることです。もし、この秋の内閣改造がこのようにきちんと行われれば、構造改革は、しっかりと進むはずです。

 反対に、派閥の親分が大臣を選ぶ昔のスタイルで内閣改造が行われれば、構造改革はできません。そして、おそらく自由民主党の存在意義そのものが問われることになりますし、そうなれば、毎年自民党の地域党員にお願いしてきた党員資格の更新(年間党費が四千円かかります)も、この神奈川十五区では、来年から止めることになると思います。

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