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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第16号 『与党の改革を』

水二題

 六十億人という地球上の人口は、日本での少子化などどこ吹く風で、増え続けています。人類がこの勢いで増え続けたら、食料やエネルギーの供給はどうなってしまうのか、誰しも一度は不安を覚えたことがあるのではないでしょうか。しかし、ひょっとすると、人類の発展の限界をもたらすものは「水」かもしれません。

 水って、みず?そう、水、みず、H2O,water、aqua…。水なんて、海に行けばいくらでもあるじゃないか、とおっしゃるかもしれません。そう、海水はいくらでもあるのです。しかし、私たちの生活に使える水は海水ではありません。地球上にある水の量は約14億km3。なんと、その98%は海水なのです。そして残り2%の半分以上は、北極と南極の氷。地下水が0.8%。世界中の川を流れている水の量を全部足しても、地球上にある水の0.0001%程度にしかなりません。人間の生活に役に立つ水は、この地球にある水の約0.8%を少し超えた量でしかないのです。

 小麦を1トン作るためには、水が1000トン必要になります。そして、一年間に地球全体で増える人口(毎年約九千万人が増えています)に必要な食料を生産するために、一年間に黄河を流れる水の半分の量を新たに確保する必要があるのです。

 サウジアラビアでは、地下水を汲み上げて農業を行っていますが、この国の地下水は、雨水が集まったものではなく、化石水と呼ばれるはるか昔に地下に貯まった水で、使えばそのままなくなってしまいます。今のペースで行けば、石油よりも先に水がくみ尽くされてしまうでしょう。世界最大の農業国であるアメリカでさえも、地下水の過剰汲み上げで灌漑面積が減り始めていますし、インドや中国でも地下水の水面が数十メートル単位で低下し始めています。水不足、あるいは過剰な水の使用によって、すでに世界的な食糧生産に大きな影響が出始めているのです。

 最近、相模川の流れに元気がなくなってきたことには、あなたも気がついていると思います。世界中で、1950年に五千カ所あった大型ダムは、今や三万八千カ所に増え、ダムによる取水のせいで、ガンジス川やナイル川、コロラド川といった川が干上がりはじめ、世界で四番目の大きさを誇ったアラル海の大きさは、わずか四分の一になってしまいました。当然、こうした変化は、川や湖の生態系に破壊的な影響を及ぼしています。

 島国である日本にいるとわかりませんが、世界的には、こうした足りなくなりつつある水をめぐる国際紛争が確実に増え、また激化し始めています。現在、もっとも可能性の高い資源をめぐる対立は、石油ではなく水の取り合いによる対立だと言われ、特にイスラエルとパレスチナ、イスラエルとシリアなどで中東の対立の引き金を引く可能性があります。

 地球温暖化や環境ホルモンと並んで、水の問題は深刻です。穀物の輸入は水の輸入、穀物の輸出は水の輸出です。世界の農業地帯に水が足りなくなってきたら、日本に食糧が来るでしょうか。

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 日本の構造改革には、地方財政の改革が、そして、そのためには市町村の大規模な合併が必要です。国会の仕事はそのための枠組みと支援策を制定することであって、どう合併を具体的に進めるかは、それぞれの自治体のやるべき事です。と、いうことを十分承知しながら、しかし、湘南の一市民として、ふだん思うことを一言。

 川を境界線として、うち捨ててしまうのではなく、川の自然、スペース、空間、機能を、街の中心に据えたまちづくりを、水を活かした合併を提案したいと思います。街の真ん中に水がある、そんな生活を考えて、二十一世紀の湘南を創れたらいいなと思いますが、あなたはどうお考えですか。

 いずれにしても、地方交付税・交付金、道路特定財源、補助金、廃棄物対策、介護や育児等々を考えると、合併は、もうそこの角をまがったところまで来ているのかもしれません。まず、井戸端会議の話題から、この話を始めませんか。

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