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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第15号 『本音の構造改革』

財政改革

 新しい日本を創っていくための構造改革の第一歩が財政改革です。

 平成十二年度当初予算によると、十二年度末には、普通国債の残高は三百六十四兆円、これは国民一人あたり二百八十七万円、国と地方が抱える長期債務の合計は実に六百四十五兆円、これは日本の経済規模(五百兆円)よりも大きく、GDPの一三〇%になります。ちなみに地球上の全ての発展途上国が抱える債務の総額を合計すると約二百兆円ですから、日本の国と地方が抱える債務の大きさがわかります。ちなみに戦後、日本政府が国債の発行を始めたのは、私が二歳になった昭和四十年です。わずか三十五年で、これだけの借金を作ったことになります。

 国債の発行が増え続け、政府に対する信頼が揺らぐようなことがあれば、高金利、インフレ、円安、海外投資の引き上げ、国内からの資金流出、投資抑制、失業率の上昇、経常収支の赤字…といったことが起き、経済の破綻を招くことになります。ですからどこかで今の国債の増加に歯止めをかけなければなりません。

 もっとも六百四十五兆円の借金といっても、すぐに耳をそろえて元利を返さなければならないものではありません。日本の国債は、これまで日本の歴史で一度も返済不能になったことはありませんし、発行した国債、地方債の大部分は国内で消化されています。平成十二年度に発行された地方債のうち、海外で消化されたのは〇・二%以下ですし、国債の所有者別内訳を見ると海外分は五・八%にすぎません。ですから償還期限を迎えた国債は、新たな国債を発行し、借り換えることができますし、国債の利払いは大部分が日本経済の中での富の再配分になります。

 そこでまず大事なことは、期限の来た国債の償還と利子の支払い以外の国の歳出を、国債を発行しないでまかなうようにする、わかりやすく言えば、国債を返すお金以外の支出を税金*でまかなうようにすることです。このことをプライマリーバランスと呼びますが、平成十二年度の予算で言うと、五十二兆円の収入(国債を除く)しかないのに六十三兆円の支出(国債の返済を除く)が計上されており、十兆円以上のプライマリーバランスの赤字が発生しています。(*国の歳入の大部分は税金ですが、その他に印紙収入、アルコール専売納付金、印刷局の官業益金、国有財産処分収入、国有財産利用収入、日本銀行および中央競馬会からの納付金、前年度納付金といった歳入もあります)

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