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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第13号 『年金に関する誤解について〜2000〜』

少子化対策

 北欧のスウェーデンでは、一九六〇年代後半から出生率が大きく落ち込み、出生率が一・六まで低下しました。しかし、一九八〇年代に思い切った少子化対策を打つことによって、一九九〇年には、出生率が二・一三まで上昇しました。つまり、政策転換によって、少子化に歯止めをかけることは、可能なのです。(もっともスウェーデンでは、その後の経済不況の中で、児童手当の削減など、再び、政策を大きく転換し、六年間で出生率は一・六まで低下しました)
 日本でも、まず、子育てと就業の両立を可能にする政策が必要だと思いますし、政策を小出しにするのではなく、少子化対策は、国の大きな政策の一つと考えて、思い切ったことをやる必要があります。
 最初に手をつけるべきなのは、児童手当、児童扶養手当の所得制限の撤廃、あるいは所得制限額の思い切った引き上げだと思います。現在、児童手当は、第一子、第二子に月額五千円、第三子以降に一万円が支給されることになっています。しかし、夫婦が共に働いていると所得制限を超えてしまうなど、親の所得制限が厳しく、児童の二割程度しか、この手当の対象にならないため、改善の余地が多くあります。
 母子家庭の母親に支給される児童扶養手当も、現行では、所得制限が低く、フルタイムで働く母親がしばしば支給対象からはずれてしまいます。子育てと就業を両立させると手当が給付されないのは、政策として間違いです。
 国民年金の第三号被保険者、つまり専業主婦は保険料が免除され、働く女性は保険料支払いの義務があるというおかしな現状も、あわせて改革しなければなりません。
 私の議員会館事務所でエネルギー・環境問題を担当する女性スタッフは、子どもを保育所に預けて、朝九時に出勤します。しかし、彼女が担当する部会が、自民党本部で朝八時から開かれる日は、保育所が開く前に出勤しなくてはなりません。幸い、彼女の場合は、近くに住む母親が、代わって保育所に連れて行ってくれますが、保育施設、保育サービスに関して、もっともっともっと、利用者の利便性を考慮した政策が必要です。
 育児休暇に手当を支給することも検討する必要があると思います。スウェーデンの場合、最初の十一ヶ月は、休暇前の収入の九〇%を、以後三ヶ月は所定の金額を補償する制度を実施し、成功しました。しかし、経済が失速すると同時に、この手当も削減され、出生率は急速に低下しました。安定した制度を作るため、財源をどうするか、いくら支給するか、幅広い議論がまず必要です。
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