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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第13号 『年金に関する誤解について〜2000〜』

年金に関する誤解について

若い世代の間では、払う保険料の総額よりも受け取る年金の額の方が少なくなるという話が、ここ最近、週刊誌をはじめ、メディアで報道されています。でも、ちょっと待って下さい。これは誤解です。
 たとえば、平成十一年度に二十歳になる男性が二歳年下の女性と結婚し、将来年金をもらう場合、生涯給付額は約四千九百万円になります(モデルケースの場合。以下同じ)。それに対する保険料負担は、およそ六千四百万円。ほら、もらう方が千五百万円も少ない!? いいえ、この「保険料負担額」には会社が負担する部分も含まれています。会社負担分は、公的年金制度の中で会社に義務付けられており、個人の財布から出ていくものではありません。このケースで個人が払う保険料の総額は、二千八百万円で、差し引きすると、給付額のほうが多くなっています。ちなみに、去年の年齢・年金の総額・本人負担額は
▽二十歳=四千九百万円・二千八百万円
▽三十歳=五千万円・二千五百万円
▽四十歳=五千百万円・二千百万円(いずれも妻は二歳下、モデルケース)
 たしかに、負担と給付の割合は悪くなっているかもしれませんが、支払う金額の方が多いということはありません。
 また、国の年金は信用できないから、預金や民間の年金保険で、自分の面倒は自分で見るよという若い人がいますが、良く考えてみてください。
一、 人間、何歳まで生きるかわかりません。つまり、いくら貯えておけばいいか、計算ができないわけです。公的年金は、何歳まで生きてもずっともらえます。
二、 これまで日本は何度かインフレを経験してきました。一生懸命積み立てても、インフレになれば、その価値は下がってしまいます。公的年金は、物価の上昇に応じて需給額がスライドしていきますので、インフレに対する備えがあります。
三、 民間の年金保険は、自分の積み立てた額に利息がつくだけですが、公的年金は、本人負担分に加えて、国庫補助と会社負担があります。
四、 民間の金融機関より、日本という国の方が、安全性は高いと思いませんか。
 ということから、まず、老後の備えは、公的年金で、そして、それに加えて貯蓄や企業年金、それに新設される確定拠出年金(401K)で補完していくというのが正しい選択だと思います。
 ただし、今の国民年金には、小手先の改革ではなく、抜本的に改善しなければならない点があります。次の改正には、国民年金を保険料方式から、税方式に切り替えるべきというのが、私の主張です。(ごまめの歯ぎしり第9号 「俺達の年金改革」参照)
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