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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第12号 『神奈川独立!〜2000〜』

ジャパンが負けている産業

 日本経済の再建を考えるときに、情報通信やバイオテクノロジー、介護のような新しい分野の産業の育成が必要であることは言うまでもありません。しかし、それと同時に、伝統的な産業の再活性化も忘れてはいけません。
  本来ならば、もっともっと元気であるべき産業の一つが、観光産業です。日本の観光産業の驚くべき現状をまず認識してください。
  海外から日本を訪れる外国人の数を諸外国と比べると、日本の観光産業の置かれている立場が良く分かります。データのそろっている一九九六年の数字で比較してみると、外国からの旅行者が多い国トップ5は、フランス(6,241)アメリカ(4,649)スペイン(4,054)イタリア(3,285)イギリス(2,529)です。(カッコ内は一年間の外国人旅行者、単位は万人)。アジアの国だけを比べると、香港(1,170)シンガポール(729)タイ(719)マレーシア(714)中国(674)がアジアのトップ5です。
 日本(384)は、世界で三十二位、インドネシア(503)マカオ(489)といったアジア諸国にも負けています。さらに、チュニジア(389)や南アフリカ(494)などよりも順位は下です。三十三位にお隣りの韓国(369)が続いています。
 さて、人口千人あたりに何人の外国人旅行者が訪れるか、というデータを取ってみると(一九九六年度版JNTO国際観光白書)、トップのオーストリアが2,120人(つまりオーストリア人が千人いるところに年間二千人以上の観光客が来る)、そして、ハンガリー2,030人、シンガポール1,950人、香港1,850人、スイス1,500人と続きます。さらに、主だった国を挙げると、フランス1,070人、スペイン1,030人、イタリア540人、イギリス430人、マレーシア340人、アメリカ180人、タイ120人、台湾110人、韓国80人。日本はオーストリアの七〇分の一のわずか30人。海外から日本への旅行者というのはずいぶん少ないではありませんか。
 一方、日本から海外へ出る旅行者の数は、一九九六年に千六百七十万人を記録し、一九九七年に千六百八十万人、一九九八年に千五百八十一万人と推移しています。つまり、訪日する旅行者の約四倍の旅行者が海外に出ていっているわけです。
 結果として、一九九八年の我が国の国際旅行収支(旅客運賃を含む)は、受取が 七千四百九億円、支払は四兆六千百三十一億円で、収支は三兆 八千七百二十二億円の赤字となっています。 日本はもっと観光に力を入れ、海外からの旅行者を増やし、観光関連産業での雇用の創出を図るべきではないでしょうか。
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